欧州で不人気な新型ワクチン

新型インフルエンザワクチンは相変わらずワクチン不足が続いています。
どんなものでの需要と供給のバランスです。
あれだけ品不足が騒がれた季節性インフルエンザワクチンでさえ、どこからか在庫品が出て来ています。
今頃接種する方も少なく、余ったワクチンは廃棄されそうです。

そんな中で新型インフルエンザワクチンは国によって評価が分かれて来ました。

国産インフルエンザワクチンについては


も参照下さい。



##欧州、だぶつく新型ワクチン 副作用恐れ、低い接種率
新型インフルエンザの流行に備えて大量のワクチンを確保した欧州主要国で、ワクチンがだぶついている。接種率が極めて低いためだ。
ワクチンの有効期限は1年のため、最悪の場合、廃棄せざるを得ない。
先ごろまでのワクチン争奪戦から一転して、売却先を探す動きが加速している。

英国では今月10日までに1320万回分のワクチンを病院に配布。10月21日に医療従事者や妊婦など優先対象者から接種を開始したが、まだ230万人(12月10日現在)しか接種していない。

フランスでは、優先対象者2500万人のうち、接種済みは16日段階で365万人にとどまっていた。
このため接種対象を一般の成人4千万人にまで拡大し、18日現在では約400万人となった。

他の主要国でも状況は同じだ。
イタリアでは各自治体に計743万回分が配布されたが、15日現在で接種したのは約69万人だけだ。
ドイツでも接種済みは約670万人と、人口の8%にすぎない。

ほとんどの国で接種は無料。
にもかかわらず接種率が低い理由の一つが、ワクチンの副作用に対する不安だ。
接種の際の頭痛や熱、めまい、吐き気といった症状が繰り返し報道されたうえ、カナダ国内で想定より高率の副作用が報告されたことで警戒感が強まった。
季節性インフルエンザと比べて死亡率が低いと解釈し、感染に対する危機感が薄いこともある。
仏の世論調査では、4割が「全く心配していない」と答えている。

ワクチン製造能力を持つ製薬会社が集中する欧州では、6月の世界保健機関(WHO)による世界的大流行(パンデミック)宣言前から各国が先を争ってワクチン確保に走った。
当初は2回の接種が必要とされたが、後に1回で十分と分かったこともだぶつきの原因になっている。

大量にワクチンが余ることが確実になったため、今度はその処理のため各国が本格的に動き始めている。
9400万回分を確保しているフランスは17日、WHOに当面500万回分を寄付する方針を表明。スイスも調達した1300万回分のうち450万回分を売却するか、WHOを通じて途上国に寄付すると発表した。

十分にワクチンを調達できなかったアフリカや東欧の国々に売却を模索する動きも出ている。また製薬会社に引き取ってもらうため協議を始めたスペインのような例もある。
http://www.asahi.com/national/update/1219/TKY200912190279_01.html
出典 asahi.com 2009.12.20
版権 朝日新聞社


#国内製薬各社、ワクチン事業に本腰 撤退の流れ一転
新型インフルエンザの流行を受けて、製薬業界が感染症を予防するワクチンの開発や生産に本腰を入れ出した。
副作用問題による需要低迷で国内の一部製薬会社は一時、ワクチン事業を縮小・撤退した。
新型インフルのワクチンも多くを輸入に依存するなど海外勢に後れを取っており、国産ワクチンの安定供給を目指す。

新型や季節性インフルエンザなどのワクチンを内外の製薬会社から仕入れている第一三共は、2012年までに国内でワクチン製造を始める方向で検討に入った。
今年10月、ワクチン事業強化策を検討する部署を設置。
自社工場の活用や、他のワクチンメーカーから同事業を買収することも視野に入れている。

新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)に備えて、厚生労働省補助金を用意する方針を打ち出したことも後押しする。
第一三共は、インフルエンザワクチンの仕入れ先である北里研究所(東京都港区)との連携も強める考えだ。
北里研は国の補助金を得られれば、13年に埼玉県北本市新型インフルエンザのワクチン工場を新設する方針。現在より短期間で安定供給できる製法を採用する計画で、第一三共もワクチン開発などで協力する。

はしかや風疹などのワクチンを自社生産している武田薬品工業は今年5月、スイスの製薬大手ノバルティスが持つワクチンの日本での開発権などを取得した。
子どもの髄膜炎を防ぐヒブワクチンで、来年から臨床試験を始める。

ヒブワクチン第一三共が昨年12月から輸入販売を始めたが、接種の希望者が多く、品薄の状態が続いている。
武田は昨年3月にも日本ポリオ研究所(東京都東村山市)から安全性を高めたポリオワクチンに必要な、たねウイルスを取得するなど、関連事業の強化を続けている。

創薬ベンチャーのUMNファーマ(秋田市)は、遺伝子組み換え技術でワクチンの製造にかかる期間を従来の3分の1に縮める製法を米製薬会社から導入した。インフルエンザワクチンを生産する新工場を秋田市に建てる計画で、他の製薬会社と提携して13年の生産開始をめざす。

国内のワクチン産業は、90年代から00年代半ばにかけて冬の時代を迎えた。
予防接種の副作用を巡る裁判で国の責任を認める判決が続き、学校での集団接種が原則廃止になったことなどが需要を冷え込ませた。
武田は、集団接種がなくなった94年にインフルエンザワクチンの生産をやめた。旧三共(現第一三共)は、ワクチンを仕入れていた千葉県血清研究所が02年に閉鎖されたため、ワクチン事業から一時撤退した。

風向きが大きく変わったのは07年。
厚労省が「ワクチン産業ビジョン」をまとめ、鳥インフルエンザなどの大流行に備え、国産ワクチンの必要性などを訴えた。

「日本のワクチン産業は、欧米より15年遅れている」(米国製薬大手幹部)といわれ、今年流行している新型インフルエンザのワクチンも6割以上を輸入ワクチンに頼る。
世界的大流行になれば、ワクチンが輸入できなくなる可能性も指摘される。

このため厚労省は、13年度をめどに国民全員分のワクチンを半年で国内で製造できるように関連産業を育成する方針を新たに掲げた。
約1200億円の補助金を用意し、国内に3カ所程度のワクチン工場の新設を促す考えだ。

需要増を見込んで、外国勢も日本市場に参入する。英グラクソ・スミスクラインが今月22日、国内初となる子宮頸(けい)がんのワクチンを発売。
米ワイスも国内初の小児向けの肺炎球菌ワクチンを来春までに売り出す予定だ。

イメージ 1


http://www.asahi.com/special/09015/TKY200912100468.html?ref=recc
出典 asahi.com 2009.12.15
版権 朝日新聞社
<コメント>
何はともかく安全なワクチンをお願いします。










読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(H20.5.22~)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(H19.8.3~)
(いずれも内科専門医向けのブログです)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)