肩・首・腰の「凝り」

外来を受診される方には肩や首、腰が凝ってつらいという訴えの方も多くみえます。
頭痛の原因になっていることもあります。
このタイプの頭痛は緊張型頭痛といいます。
こういった症状にはストレッチやマッサージが有効ですが、凝りを手軽に和らげるには温めるのも方法です。



肩・首・腰の「凝り」 温めて血行改善

デスクワークなど同じ姿勢を長時間続けることで起きる「凝り」。
これは筋肉が緊張し、血行が悪くなった状態と考えられている。

そのため、温めて血行を良くするのがいいとされる。
特にこれからの季節は、使い切りタイプの張るカイロなどを使うのが効果的。
保温効果が持続するうえ、張って固定できるのがメリット。
肌着などに張り、マフラーなどで“ふた”をして熱を封じ込める。
地肌には決して張らない。


イメージ 2




張る場所は、上のイラストが示す3カ所。
首や肩の凝りには、肩を覆う僧帽筋の上に張る。
腰の凝りや張りには、背骨に沿って走る脊柱起立筋。
腕のだるさなら、肩甲骨と腕の骨(上腕骨)を結ぶ小円筋に張ると良い。
いずれもパソコン作業など、崩れた姿勢を続けることで、負担がかかりやすい部位だ。

市販の張るタイプの外用消炎鎮痛薬を使いたい場合もあるだろう。
これらの薬は凝りによる痛みをとるのが主な効能だ。
張る前に入浴で体をしっかり温め、血行を良くしてから、張り薬のパップ剤やテープ剤を張って休むのがいい。

最近は、面倒だからシャワーで済ませるという人も多いが、体を温めるには、やはり入浴が効果的だ。


浴槽で体ゆらす
湯船の中で体を軽く揺らす“ふるふるマッサージ”もお薦めだ。
38~40℃のぬるめのお湯にじっくりつかって血行を良くするのがいい。
お湯につかるだけでも十分だが、さらに浴槽の中で体をふるふると揺らして動かすと、お湯の水圧で体をマッサージできる。


イメージ 1




たとえば、浴槽に入って座り、腕を前に伸ばして手から腕全体を大きく海草が揺れるようにゆっくり動かす。
手首をゆっくりと左右に反転させるイメージだ。ほかにも、太ももとふくらはぎをふるふると揺らすのもいい。
浮力があるため、余計な力が抜けるのもメリットという。



イメージ 3




細かく素早く動かすと、負荷がかかるので、ゆっくり動かすといい。
また、ひじはぴんと伸ばさず、緩めるのがいい。


温かい飲み物も
 一方、温かい飲み物で内側から温めて、血行を良くする方法もある。

「飲み物で凝りをとる」というのは意外なように思えるが、食べ物の体への影響を追究してきた中国伝統医学(中医学)では基本の考えだ。
「凝った部位は『不通』といい、血や、体のエネルギーである気が滞っていると考える。
あるいは『不養』という血液などの体液不足があるとされる。
いずれも改善のカギは、体を温めて冷えをとり、血行を良くすること」だ。

薦められるのは黒豆茶
いった黒豆にお湯を注ぎ、5分ほど蒸らして、飲む方法だ。
血を補う『補血』作用があるほか、利尿作用もあるから、むくみにもいい。

血行を良くする飲み物として、ココアとショウガ入りのドリンクもお薦めだ。
朝の起床時に凝りを感じることが多い人は、寝ている間に過緊張になっている可能性がある。
リラックス効果で、就寝中の過緊張を緩めるココアを夜の就寝前に飲むのがいい。

日中や夕方に凝りを感じるなら、ショウガ入りのドリンクで体を温めて、血行を良くするのがいい。
この方法は冷え対策にもつながる。

これからの寒い季節は服装も重要。
冬は、体が熱を逃がさないように、両肩を縮めて背中を丸める。
その姿勢が凝りを悪化させる一因になる。
熱は襟元からどんどん逃げるので、外出時もマフラーを巻くなどの工夫をするといい。
                            (日経ヘルス編集部)

出典 日経プラスワン 2010.10.16(一部改変)
版権 日経新聞



<番外編>
第一三共、純国産の抗インフル薬発売
第一三共は19日、抗インフルエンザウイルス薬「イナビル」を発売したと発表した。
流行に備え12月末までに大人向け用量の40ミリグラムを1人分として約200万人分、来年3月末までに同最大400万人分を供給する計画。
イナビルは粉末を吸入するタイプ。
簡単に使えて1回分で治療が終わるのが特徴だ。
 
第一三共が生み出した純国産のインフル治療薬。
長時間作用するので投与頻度を減らせる利点がある。
主成分のラニナミビルオクタン酸エステル水和物が細胞膜の表面のたんぱく質「ノイラミニダーゼ」を阻害。
インフルエンザウイルスを細胞内に閉じ込めることで治療する。

出典 日経産業新聞 2010.10.20




イメージ 4





他に
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(H20.5.22~)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(H19.8.3~)
(いずれも内科専門医向けのブログです)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)
「葦の髄」メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版です)
があります。