気軽な室内運動

メタボ予防も 気軽な室内運動で元気に

最近は健康維持のため、気軽に室内で行える運動が注目されている。
大学などが行った研究で、効果が確かめられた運動もある。

室内運動が注目されるきっかけの一つとなったのは、厚生労働省の「運動所要量・運動指針の策定検討会」が平成18年に発表した「健康づくりのための運動基準2006~身体活動・運動・体力~報告書」だ。
報告書ではスポーツとしての運動だけでなく、通勤時の歩行や家事などあらゆる身体活動の強さをメッツという単位で表し、掃除機がけなどの動作も3メッツ以上であれば生活習慣病の予防に役立つと結論づけている。

この研究の結果、室内で積極的に体を動かすメリットを正確に評価できるようになった。
例えば、寒い冬に無理に屋外運動を行うと、なかなか体が温まらずケガの原因になり、血圧上昇などのリスクも高まるが、室内運動ではその心配が少ない。


筋肉と脳を刺激
効果を上げる室内運動の研究も進められている。
たとえば「踏み台昇降運動」。
高さ10~20センチの踏み台をリズムよく昇り降りする運動で、速度によるが3~6メッツの効果が得られる。
現在、一部の市などが、メタボリック症候群の予防プログラムなどに採用している。

全く道具を使わずに一定の運動量を保てる「フリフリグッパー体操」という名がつけられた独特の音楽体操もある。(図)

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足を肩幅に開き、つまさきを床につけたまま音楽のリズムに合わせて足踏みをする。
慣れてきたらかかとを上げた足の反対側のお尻をキュッと持ち上げる。
さらにリズムに合わせて両腕を開いたり閉じたりする動作を加えるが、手はひらいたときにグー、合わせるときにパーにすることで全身の運動になる。

運動強度は、音楽のテンポによって異なるが、中高年を対象とした臨床試験では3.5~5.5メッツの運動効果が得られた。

この運動の開発にあたり重視されたのは2点だ。
まず、腰回りにある深部筋とよばれる筋肉を積極的に使うこと。
事務職などいすに座る仕事では、この筋肉はほとんど使われず、弱ると体のバランスをとる機能が衰えて転倒などの原因になる。

もう1点は脳の働きの活性化だ。
フリフリグッパー体操を10分行う臨床研究では、体操を終えて15分後に認知機能を調べるテストの成績が向上した上、脳の司令塔である前頭前野の血流量が上昇して、消極的気分が低下、積極的な気分や快感が高まるという成果が得られている。


曲選びが楽しみ
自宅でビートルズの「ラブ・ミー・ドゥー」に挑戦してみたが、腰や胸の筋肉をしっかり動かすことを意識して行うと、1曲2分21秒の間で軽く息切れを感じるほどだった。
自分で3分程度の長さの音楽を3曲選んで行うぐらいが1回の運動量としては適切だという。
この曲選びの段階が楽しいのだという。

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床から足を離さないので転倒などのリスクの低い運動だが、つらくなったり、嫌になったりしたら、すぐ止める。
楽しくなければ効果は少ない。
この冬の間、気軽な室内運動を始めることで、運動嫌いを返上し、健康に過ごすきっかけになるかもしれない。 (ライター 荒川 直樹)


コンパクトな道具の方が長続き
本格的な運動器具を用いた室内運動もあるが、できるだけコンパクトで場所をとらない補助道具の方が、やりたいときにすぐ実行できて長続きする。

例えば、身体と密着させて使うバランスボールも一般家庭では保管場所に困る大きなものより、バレーボールより小さめのものがお勧めだ。
いすの上に載せたボールの上に座ってフリフリグッパー体操を行うと、ひざが痛いときにも運動ができる。

このほかゴムバンドなどを伸び縮みさせるチューブトレーニングは、もともと病院のリハビリ用に開発されたものだが、気軽に室内で筋力アップを目指せる運動として利用されている。

出典 日経プラスワン 2010.11.13(一部改変)
版権 日経新聞


<私的コメント>
私も日頃運動不足のため、音楽をかけながら無手勝手流に体を動かすことがあります。
こういった経験はどなたにもあるのではないでしょうか。

高校時代、体育の時間に剣道をやったことがあります。
3分間の掛かり稽古はとても長く感じたものでした。
防具の臭(くさ)さも忘れられません。

ボクシングの1ラウンドの3分間も、闘う本人達にとってはとてつもなく長く感じる筈です。

「3分程度の長さの音楽を3曲」も結構きつい運動の筈です。




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