ヒブ・肺炎球菌ワクチンで死亡

いよいよ危惧していたことが現実となりました。
以下、新聞記事からです。


ヒブ・肺炎球菌ワクチンを一時中止 接種後に4児死亡

厚生労働省は4日、小児用肺炎球菌ワクチンとインフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチンの予防接種後に乳幼児4人が相次いで亡くなったことを明らかにした。
いずれのワクチンも接種を一時見合わせることを決め、自治体や販売業者に通知した。
週明けにもワクチンとの因果関係を調べる専門家による検討会を開き、接種の再開を判断する。

同省によると、2日以降死亡が報告されたのは、兵庫県宝塚市、同県西宮市、川崎市京都市で生後3カ月~2歳代の4人。
このうち2人は心臓に持病があった。
接種の翌日~3日後に死亡していた。
接種した医師らの報告では、接種と死亡との因果関係は「評価不能」や「不明」という。
小児用肺炎球菌とヒブは、乳幼児の細菌性髄膜炎を防ぐワクチンで今年度の補正予算で公費助成が始まった。

4人が小児用肺炎球菌ワクチンのプレベナー(販売名)を打っていた。
このうち3人がヒブワクチンのアクトヒブ(同)との同時接種。
もう1人はジフテリア・百日ぜき・破傷風混合ワクチン(DPT)との同時接種だった。
プレベナーを製造・販売するファイザースペシャリティ・ケア事業広報部は「詳細情報の収集を進めている」と話している。

宝塚市は4日、当面、複数のワクチンの同時接種を中止することを決めた。
同市内と西宮市で亡くなった2人が打ったプレベナーと同じロット(製造群)番号の製品の使用中止も決めた。

野々山恵章・防衛医大教授(小児科)は「米国ではヒブワクチンは約20年前、肺炎球菌ワクチンも約10年前から打っており、同時接種もしていて問題は起きていない。今回、死亡した子どもの死因について検証は必要だが、不用意にワクチンを怖がって、やっと日本に導入されたワクチンが打たれなくならないようにして欲しい」という。
<私的コメント>
小児科医はワクチンについてどちらかというと「前向き」の姿勢です。
私は新しいワクチンが登場するたびに、すぐに積極的に勧奨する小児科医特に開業医の方針には懐疑的でした。
以前にMMRワクチンも問題が提起された時点で中止しました。
しかし近隣の小児科医は、厚労省(当時は厚生省)が中止の指示を出すまで接種を続けていました。
「米国では問題ない」ということがそのまま「日本でも大丈夫」ということにはなりません。
私は循環器が専門ですが、降圧剤やコレステロール改善剤でも有効量や副作用の発現頻度が異なるのは常識です。
この教授のコメントの理論でいけば国内治験は要らないことになってしまいます。
日本小児科学会ではワクチンの同時接種を容認(推奨?)しています。
私の知る限りでは、厚労省は「同時接種」についてはコメントを出していません。
私は一切同時接種はしないようにして来ました。
単剤でも因果関係が不明なのに、新しく出たワクチンとの同時接種は副反応かどうかの判断を困難にします。
米国では普通に行われているというのが推奨根拠のようですが、MMRの忌まわしい記憶が残っている私は「同時接種」には踏み切れませんでした。

     ◇

<小児用肺炎球菌ワクチン> 
5歳未満の乳幼児の細菌性髄膜炎や中耳炎を予防するためのワクチン。
厚生労働省によると、乳幼児の髄膜炎の発症者は年間400人以上(推計値550人)とされ、死亡する確率は2~5%。
後遺症の残るケースも10~25%とされる。
厚労省の承認を受け、昨年2月に発売された。
接種は任意だが、同様に細菌性髄膜炎などを予防するヒブワクチンとともに、国の昨年11月からの助成事業を受けて、各自治体で接種費用を無料化する動きが広がっている。



<追加>
2幼児接種ワクチンは同日に製造 相次ぎ死亡で兵庫・宝塚市
兵庫県宝塚市と西宮市で小児用肺炎球菌ワクチンなどの接種を受けた幼児2人が相次いで死亡した問題で、宝塚市は4日、肺炎球菌ワクチンの製造日を示すロット番号が同じだったと発表した。
製造元の「ファイザー」によると、ワクチンは米国製の「プレベナー」でロット番号は「10G03A」。
製造日は2010年7月27日で、国内に約22万本が流通している。

同社は「製造にかかわる安全性の問題は見つかっておらず、回収は考えていない。流通地域の特定も難しく、医療機関に周知する予定はない」としている。

宝塚市は4日、市内の医療機関に対し、接種と死亡との因果関係が分かるまでは同じロット番号のワクチンの使用を避け、小児用肺炎球菌ワクチンとほかの種類のワクチンとの同時接種も控えるよう求めた。
2011/03/04 20:50 【共同通信
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011030401000711.html
<私的コメント>
ファイザー」の態度は弾劾に値します。
このままでは医療機関の同社に対するボイコット運動が起きます。
私は他の薬剤で同社に対する不信感を持っており、このことについては他のブログに掲載しました。


小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンを含む同時接種後の死亡報告と接種の一時的見合わせについて
小児用肺炎球菌ワクチン(販売名:プレベナー水性懸濁皮下注)及びヒブワクチン(販売名:アクトヒブ)を含む、ワクチン同時接種後の死亡例が、3月2日から本日までに4例報告されました。

ワクチン接種と死亡との因果関係は、報告医によればいずれも評価不能または不明とされており、現在詳細な調査を実施しています。

このような状況から、「小児用肺炎球菌ワクチン(販売名:プレベナー水性懸濁皮下注)」及び「ヒブワクチン(販売名:アクトヒブ)」については、因果関係の評価を実施するまでの間、念のため、接種を一時的に見合わせることとし、自治体及び関係製造販売業者に連絡しました。

なお、今回のワクチン接種と死亡との因果関係の評価は、医薬品等安全対策部会安全対策調査会と、子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会を、早急に合同で開催し、詳細な検討を実施する予定です。
http://www.mhlw.go.jp/stf/kinkyu/2r98520000013zrz.html


全国4例目、ワクチン接種後に乳児死亡、公費負担見合わせへ/川崎(一部抜粋)
川崎市健康福祉局によると、兵庫県で幼児2人が死亡した報道を見て、女児の母親から同日午後2時50分ごろ、市内保健所に通報があった。
女児は2月17日に市内の民間診療所で接種し、3日後の20日午前8時ごろ、呼吸停止状態になっているのを母親が発見。
市内の民間病院に救急搬送後、死亡が確認された。
女児に基礎疾患はなく健康だったという。
同局は「予防接種との因果関係は不明」としている。

川崎市は2011年度から、ヒブ、小児用肺炎球菌の両ワクチンなどを公費で全額負担する予定だったが、「国の指示に従って当面見合わせる」としている。今回のヒブ、小児用肺炎球菌ワクチンの接種は任意だった。
<私的コメント>
この女児はDPT(ジフテリア、百日ぜき、破傷風の3種混合)と、細菌性髄膜炎を予防するヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの計3種類の予防接種を受けたということです。
これは驚くべきことです。
恐らく、両腕と片側の大腿部の3カ所に接種したものと思われます。
国内ではの大腿部への接種は一般的には推奨されておらず、添付文書(薬剤使用の際のバイブル)にも記載されていません。
私は、ワクチンの同時接種を厚労省ではなく日本小児科学会が容認(推奨?)したことに疑義を抱いていました。
今回の「医療事故」に関して、日本小児科学会は早急にコメントを出すべきです。
そして一定の責任も負うべきです。

実は、子宮頸癌ワクチンについても「ある心配なこと」があるのです。
そのことについてはきょうはあえて触れません。


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