放射能 野菜は水洗いとゆでるで4~8割除染

この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。


 ◇ ◇

汚染された食品の放射性物質の量は、調理や加工で減らせる場合がある。

放射線医学総合研究所内田滋夫さん(環境放射生態学)によると、1950年代の大気圏核実験と、1986年のチェルノブイリ事故以降、欧米を中心に、食品からの除去の研究が進んだ。

農産物の汚染経路は、
〈1〉大気中の放射性物質が表面に付く
〈2〉土壌に降り積もった放射性物質が根を通じて吸収される
――の2通りある。
いま見つかっているのは、〈1〉の表面汚染だ。

内田さんらが国内外の研究成果をまとめたところ、葉もの野菜の表面についた放射性ヨウ素放射性セシウムとも、水洗いをすると10~30%程度は落ちることがわかっている。
葉の裏表、茎にも付くため、水を入れたボウルやたらいの中で、野菜を振るように洗うと良い。
水洗いの後で、さらにゆでて、そのゆで汁を捨てると、40~80%は除去できる。

ブロッコリーなどの花蕾(からい)類や、根から吸収した野菜の場合はどうか。
除去率のデータは少ないが、内田さんは「ゆでて、ゆで汁を捨てればある程度の低減が見込める」と話す。
放射性物質はゆで汁に溶け出ると考えられるためで、熱で減るわけではない。

牛乳は、乳製品への加工で放射性物質の量を減らせる。環境科学技術研究所特別顧問の大桃洋一郎さん(環境放射生態学)は「加工過程で、放射性ヨウ素セシウムは液体の乳清部分に残る。バターやチーズにはほとんど移行しない」と話す。そもそも放射性ヨウ素は8日間で放射線を出す力が半分に減るため、乳製品の加工・貯蔵過程で少なくなる。加工法の違いで、牛乳から乳製品への放射性物質の移行率を下げる研究もある。

水道水の放射性ヨウ素汚染に活性炭を使う試みがあるが、「効果は薄い」とみる専門家が多い。イオン交換樹脂で除去できたとする実験もあるが、内田さんは「放射性ヨウ素を確実に取り除ける家庭用浄水器があるかどうかは、これから検証する必要がある」と話す。

放射性物質がどの程度、食品に移行するかは、食品の種類や環境中の濃度、天候などによっても異なる。海産物も含め、食品への汚染を長期にわたり監視し続ける態勢が必要だ。

出典 読売新聞  2011.4.7
版権 読売新聞社


<参考>
環境省は国内10地点の大気中の放射線量を毎日継続的に計測し、専用ページで公開しています。
http://housyasen.taiki.go.jp/
(私的コメント;観測点が何となくピントはずれです)




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