がんPET検診 ~ がん早期発見への近道 その2(2/6)

PET検診を行なう施設は全国に広がりつつあり、会員制のPETドックや検診ツアーも登場しています。
PETは適切に利用すればがんの発見、治療、再発予防そしてがん以外の病気にまで広く役に立つ検査法。
適正利用をはかり有効性を実証していくため、日本ではガイドラインが作成されました。

無症状のうちにがんを見つける
近年がんの治療は急速に進歩し、ごく初期のうちに見つけて治療をはじめれば、大部分のがんは治る時代になってきました。
早期発見は死亡率を下げるばかりでなく、患者の体により負担の少ない治療を選択することができ、QOLの確保にも大きな役割を果たしてくれます。

実は無症状の人のがん発見を目的にPETを導入したのは日本が初めて。
PET先進国のアメリカでは「PET First=がんの疑いがあればまずPETの診断を」という言葉があるほどPETが活用されていますが、PETを健康診断の手段として利用することはほとんどなく、がんの疑いがでてきた時点から使うのが一般的です。
アメリカの医療費は高額なうえ、PETで発見された初期のがんを治療してどのくらい寿命が伸びるかという明確なデータがないことが大きな理由でしょう。

日本人の場合、自分の健康は自分で守るという意識が高まってきており、無症状でも人間ドックなどを受診する人が増えています。
実際、集団検診のがんの発見率は0.1%台なのに対し、当クリニックでPETを中心とした検査を受けた人の場合は1.7%の人にがんが見つかっています。
今後PET受診者の予後のデータが蓄積され、初期のがんを確実に発見でき、完治に結びつけられるということが揺るぎないものとなれば、PETの普及はさらに進んでいくことでしょう。

PETの適正利用のためにガイドラインの活用を
PETは初期のがんを見つけることのできる非常に優秀な検査法ですが、PETで発見できるがんは全体の約7割。
PETには不得意な分野のがんもあり、PETを含む検診でがんの正診率を向上させるには、この不得意部分をほかの検査で確実に補うことが不可欠なのです。
しかしこれまで検査に関する統一された指針がなく、検診施設ごとの独自の判断に委ねられてきました。
 
そこで2004年、日本核医学会と臨床PET推進会議は共同で「FDG-PETがん検診ガイドライン」を作成しました。
これは、PETの正しい利用で検査水準を維持し、その有効性を評価していくためのもの。
ガイドラインでは、PETはどの程度有効なのか、より確実にがんを検出するためにはPET以外にどのような検査を併用すべきなのかをがんの部位別に指摘しています。
例えば、非常に有用性の高いがんでは、頭頚部癌、悪性リンパ腫、有用性が高いと考えられるものとしては、肺癌、乳癌、膵癌、大腸癌、卵巣癌、といった具合です。
50歳を過ぎたら年に1度、ガイドラインに則したベストの組み合わせでPETを含むがん検診を受診すれば、ほとんどのがんをごく初期のうちに拾っていけるはずです。

出典 http://ps.nikkei.co.jp/hlthpet/pet_02.html
(NIKKEI いきいき健康)
版権 日経新聞社 


<関連サイト>
がんPET検診 ~ がん早期発見への近道 その1(1/6)
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/38487354.html


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雨上がりの横浜 2011.6.11撮影






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