骨粗しょう症の検診

骨粗しょう症、検診は若いうちから

■国内の患者数が1300万人といわれる骨粗しょう症
治療を受けているのは200万~300万人程度ともいわれている。
最近の研究で糖尿病など生活習慣病の人は、骨粗しょう症になりやすいことが分かってきた。
日本人に多い背骨の骨折は、折れても気づかない場合があり、骨折の放置は寝たきりにつながる恐れもある。
しかも3人に2人は気づかずにいるともいわれる。
このように「骨粗しょう症は沈黙の病気」ともいわれる。
早期発見につながる検診が大切だ。

■測るのは骨の硬さをカルシウム量から推定する「骨密度」。
20~44歳の平均骨密度を100%として、80%以上は正常、70~80%未満が骨量減少、70%未満なら骨粗しょう症の疑いとなる。

骨粗しょう症は女性に多い病気で、その原因は女性ホルモンが急に減ることで骨の新陳代謝が男性以上に悪くなり、もろくなりやすい。
したがって女性の場合には閉経後が要注意だ。

骨粗しょう症の検査も、測定した部分から全身を推定しているだけで、実態を必ずしも正確に表すとは限らない。

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血液検査で発見
■血液などの検査から早期発見できるケースもある。
古い骨が壊れる速さと新しい骨ができる速さを調べる骨代謝マーカーの測定だ。

骨粗しょう症は年だからとあきらめがちな人も多いが、骨が壊れるのを抑える薬だけではなく、新しく骨を作る薬も昨秋に登場し治療できる病気になりつつある。

■最近の調査研究で、糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣病になると、骨粗しょう症による骨折のリスクが高まることが分かってきた。

■糖尿病では、高血糖が長く続くことで作られた終末糖化産物(AGEs)が骨を作る骨芽細胞の働きを抑え、骨を鉄筋コンクリートに例えると鉄筋に相当するコラーゲンを劣化させ、柔軟性が損なわれるという。
私的コメント; このように最近では骨量だけでなく骨質の重要性が強調されるようになって来ました)
ある研究では、糖尿病の場合には骨折のリスクが約2倍高いという結果が出ている。
骨粗しょう症自体は女性に多いが、糖尿病では男女を問わず多いという研究もある。

WHO指標導入へ
■「骨質」を測る検査はまだ研究段階で普及してはいないが、早期に治療を開始することで骨粗しょう症による骨折を防止すべきであることが、世界的な共通認識となっている。
日本骨粗鬆症学会が年内に改訂する新しい予防と治療ガイドラインでは、世界保健機関(WHO)の骨折リスクを評価する「FRAX」を導入予定だ。
私的コメント; 骨も固いだけでは意味がないということは私も含め以前から多くの医師がひそかに思っていました。金太郎飴が簡単に折れることでも分かります。しかし、骨を「しなやか」にする薬がないので、このことには触れないのが「ルール」でした。)

■FRAXはWHOが2008年に公表した骨折リスクを評価する指標。
今後10年間に骨粗しょう症による骨折が生じる確率を計算する。
ネット上で日本語で公開されており、年齢や身長、体重、骨折歴、両親の足の付け根付近の骨の骨折歴、喫煙有無などを入力し算定する。

■リスクが高い場合には早期に薬物治療を始めるよう進めていくとよい。

出典 日経新聞・夕刊 2011.9.16(一部改変)
版権 日経新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO34828850V10C11A9EL1P01/?df=3


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