骨粗しょう症のバルーン手術

骨粗しょう症 バルーン手術… 骨内部を広げ セメント注入

骨粗しょう症でつぶれた背骨(椎体)に骨セメントを注入する手術で、バルーン(風船)で骨の内部を広げたうえで硬めのセメントを入れる方法が工夫され、セメントが骨の外へ流れ出すのを防ぎ、より安全に行うことが可能になった。(渡辺理雄)

横浜市の鈴木絹代さん(71)は数年前に骨粗しょう症と診断された。
骨の破壊を遅らせる薬を飲み、特に症状はなく過ごしてきたが2010年9月、腰に強い痛みを感じた。整骨院に行き一度は和らいだが、11年1月に再発。
一人では起きあがれないほどで、家族に連れられ横浜市立みなと赤十字病院整形・脊椎外科を受診した。

院長の四宮謙一先生(整形外科)によると、椎体骨折は、起きあがる時などに痛みが強くなる。
エックス線やMRI(磁気共鳴画像)検査を行い診断する。

従来は3~4週間ベッドで安静にする治療が行われていた。
しかし筋力の低下でかえって動けなくなる恐れがあるため、現在は、コルセットやギプスで腰・胸を固定しながら、日常の生活を送る治療が行われている。
8~9割の患者は2~3か月でよくなるが、痛みが取れない場合には、手術の対象になる。

背骨に2か所の骨折が見つかった鈴木さんは、骨折の治りが悪く痛みもひどいことから、手術を受けた。

手術は、エックス線透視装置で見ながら、背中からドリルで椎体に穴を開ける。
骨折でつぶれた椎体内でバルーンを膨らませ、すき間を作った後で、粘度が高い硬めのセメントを注入した。

従来のセメント注入法は、軟らかいセメントを圧力をかけて椎体内に注入していたため、セメントが骨の外に漏れて周りの神経を痛めたり、成分が血液に入って血圧が大幅に下がったりすることがあった。

同病院整形・脊椎外科部長の北原建彰先生はバルーン手術について、「骨折のタイプを見極め、十分に注意して行えばセメントの漏れを防ぐことができる。粘度の高いセメントは20分程度で固まり、痛みも早く取れる」と話す。

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鈴木さんは2週間後に退院。2か月後にコルセットを外すことができた。現在は痛みがなく、ふだんの生活に戻っている。

セメント注入は骨折からあまり時間がたっていない患者が対象で、腰が曲がってしまった患者には行われない。バルーン手術は、11年1月に保険適用となった。
椎体1か所が対象のため、鈴木さんはもう一か所の椎体骨折には、骨の成分(ハイドロキシアパタイト)の固まりを詰める治療を受けた。

バルーン手術は、研修を受けた医師がいる全国約60施設で行われている。
6月末までに約500人が治療を受けたという。

出典 YOMIURI ONLINE yomi.Dr. 2011.8.4(一部変更)
版権 読売新聞社

<自遊時間 その1>
この記事中の四宮謙一先生は、元大学教授で斯界では有名な方です。
記事では、四宮謙一さん(北原建彰先生も北原建彰さん)と書かれています。
医師も患者さんも同じ立場(平等)という発想からと思います。
しかし、私には違和感があります。
やはり「先生」と呼びたいのです。
したがって、「さん」を「先生」に勝手に変更しました。

ひと頃、患者さんを「○○様」と呼ぶのが流行りました。
私は、この流行にも抵抗があったので一度も「様」とは呼びませんでした。
事務がそういって呼ぶのはいいかも知れませんが、医師の立場としてなじめなかったのです。
今でも「患者」か「患者さん」か迷うことがあります。
こればかりは。どこからか起こられそうですので、医師同士でも「患者さん」と呼ぶようになっています。
昔は「クランケ」という便利なドイツ語がありましたが若い医師やナースには通じません。

皆さん方は「四宮謙一さん」と「四宮謙一先生」ないしは「四宮謙一医師」のどちらに不快感を抱きますか?
また、患者さんを呼ぶ時の「○○様」はどうですか?
コメントをお待ちしています。


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2011.8.21 撮影 ヒルトン大阪(大阪・梅田)



<自遊時間 その2>
世界陸上もいよいよ終幕を迎えようとしています。
昨夜の女子棒高跳びエレーナ・イシンバエワは、男子陸上100Mのウサイン・ボルトと同様に不完全燃焼で終わってしまいました。
それにしても、「女子棒高跳び」の選手については以前から気になっていたのですが、どうして美人ぞろいなのでしょうか。不思議です。




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