足腰の疲れをとるマッサージ法

簡単で効果的 足腰の疲れ、マッサージで取る方法

厳しい暑さをやり過ごしたら、スポーツの秋にジョギングや山登りを楽しもうと考えている人は多いだろう。
慣れない運動を始めた時は、準備運動とともに運動後は十分に体をいたわってやることが大切だ。運動後にマッサージやストレッチで足腰の疲れを取るためにはどんな方法があるのだろうか。

筋肉自体に原因
運動した翌日に筋肉の痛みが生ずることが多い。
かつては激しい運動をした後で筋肉中に発生する乳酸が原因とされていたが、今はその説が見直されている。

「乳酸は運動の際に筋肉でブドウ糖が使われたことにより出てくるが、筋肉で再利用されたりして比較的短い時間で消失するので、筋肉痛の原因とは言えない」と、慶応義塾大学・スポーツ医学総合センターの岩本航医師は話す。
「筋肉自体の緊張や炎症を筋肉痛の原因とするのが、現在では一般的な見方」という。

マッサージやストレッチを行うと、筋肉痛を弱める効果が期待できる。
マッサージは筋肉をさすったり指圧したりすることで血行を改善し、ストレッチは筋肉を伸ばすことで緊張を和らげることが多いからだ。

素人でも比較的簡単にできて、効果が出やすい方法を紹介しよう。
筋肉の狙った箇所を押したり伸ばしたりするには、2人組で行うのが理想的だ。運動直後に行うのが望ましいが、風呂上がりに行うのもよい。

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軽めのジョギングや山登りなどで疲れやすいのは、足腰の筋肉だ。
で示したストレッチを、それぞれ1回20秒程度で行い、2~3回繰り返す。ストレッチは反動をつけずに、痛みが出ない程度の位置までゆっくりと伸ばす。
受ける人は息を止めないようにしよう。
表3のマッサージは、足の先側から上半身(心臓)の方向に向けて筋肉を軽くさする。

まずはお尻と股関節のストレッチから。
ひざを曲げて足を上げ、ひざから下を内側にひねる。
続いて背中と腰周辺の筋肉をストレッチ。
一方の肩を押さえ、同じ側の足を上げて体(体幹)を内側にひねる。

これが終わったら、太もも前後とふくらはぎに移る。
太ももの前面にある大腿四頭筋のマッサージは、ひざを伸ばした状態で行う。
太もも後面のストレッチも同時に行えるからだ。
太もも後面のマッサージは、ひざを曲げて、筋肉を緩めた状態で行うとよい。

ふくらはぎのマッサージも筋肉を緩めるために、軽くひざを曲げて行う。
両手の親指と手のひらを使い、押す時間と離す時間を同じくらいにして、ゆっくりと上げ下げすることがポイントだ。
急すぎると、痛みが起こりやすい。

難しいのは力加減だが、「相手が心地よいと感じるくらいの力でさすったり、もんだりするのが基本で、強すぎてはいけない」と、プロスポーツ選手のトレーナーを務めた筑波大学大学院スポーツ医学専攻の白木仁教授は説明する。
「心地よい刺激は血液の循環を促進するが、強すぎると筋肉を痛める可能性がある」

1人で行う方法
マッサージの相手がいない場合、効果は小さくなるが1人で行う方法もある。
例えば、疲労回復に効果的なふくらはぎは、3通りのもみ方を行うと力の入る親指でまんべんなくマッサージできる()。

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足底の痛みを予防するには、「足の裏の指の付け根からかかとに向けてまんべんなく、親指の腹で円を描きながら圧迫する」(白木さん)。
ひざにも負担がかかりやすいので、両方の手のひらでひざを挟み込み、上下に往復させてさする。

マッサージ後に前よりも痛くなる「もみ返し」が心配な人は、太ももやふくらはぎの筋肉もストレッチだけで済ませる手がある。
国際武道大学スポーツトレーナー学科の山本利春教授は、「2人組で行えば、必要のない部位に無駄な力をかけず、筋肉や関節を大きく動かせて効果的」という。

大切なのはふくらはぎと太もも前後のストレッチで、方法は表の通り。
ストレッチを施す人は反動をつけず、体重を乗せるような負荷を与えないように注意しよう。
ストレッチを受ける人が痛みを感じていないか観察しながら行うとよい。

◇   ◇

筋肉痛が激しい時は控えて
マッサージやストレッチを運動後や風呂上がりに行うのは、筋肉が温まり、リラックスしている状態だからだ。
風呂に入れない場合は、「蒸しタオルなどで温めてから行うと効果が高まる」(白木さん)。

逆に、マッサージやストレッチをしてはいけないのは筋肉の痛みが激しいとき。
その場合は、湿布やアイシングなどで筋肉の炎症を抑えた方が良い。

また、皮膚病や感染症があったり、風邪などで発熱している時も控える。
「食後の60~90分やお酒を飲んだ後も受けてはいけない」という。

出典 日経プラスワン 2010.11.8.27
版権 日経新聞



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