首の椎間板ヘルニア

肩甲骨などに激痛 -安静にし刺激避ける-

「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」は、腰の部分で起こることがよく知られていますが、腰と同じように首の骨(頸椎=けいつい)でも起こる場合があります。

まひやしびれも
スポーツの最中に急に上や下を向いたり、草むしりやペンキ塗りなどで長時間、上や下を向き続けることがあります。
そんなときに、頸椎と頸椎の間でクッションの役をしている椎間板が後ろへ飛び出し、痛みなどの症状を起こすのが頸椎椎間板ヘルニアです。
 
飛び出た椎間板が神経の枝(神経根)を圧迫すると、首筋から肩甲骨、あるいは首筋から腕を通って、親指や中指、小指へ激しい痛みが走ります。
痛みに伴って、ビリビリとした感じもすることがあります。
 
椎間板が神経の幹(脊髄=せきずい)を圧迫すると、両方の手足にまひやしびれ、脱力感が生じ、歩きにくくなり、手で物が持ちにくくなったりします。
 
よく起こる年齢は、腰の椎間板ヘルニアに比べて高く、40歳代から50歳代にかけてです。
同じように手足のしびれや痛みが伴う変形性頸椎症よりも、痛みが激しいのが特徴です。
 
治療は、痛みに対しては鎮痛薬を服用したり、湿布をします。
また、首をけん引したり、治療用のカラーを使うこともあります。

●日常の注意が大切
治すためには、日常生活上の注意が非常に重要で、その基本は安静と刺激を避けることです。
 
痛みが激しい急性期は、温めると症状が悪化するので、入浴はシャワー程度にしておきます。
マッサージや指圧は、患部に刺激を与えるので禁止します。
草むしりやデスクワークなど下を向いての仕事や、天井の掃除など上を見上げての仕事も避けたいものです。
 
痛いからといって、全く動かないと足腰が弱るため、散歩や軽いジョギング、手足の体操など、首に負担がかからない運動はした方がいいのです。
 
寝る際のまくらは、あまり硬くなく、肩までかかるような大きめのもので、立ったときの自然な首の状態が保てるような形のものにします。
 
頸椎椎間板ヘルニアの約9割は、こうした治療と日常生活の注意で1カ月以内に治ります。
 
頸椎のすぐ後ろには、重要な神経が集中しています。
麻酔針で神経をブロックしたり、手術するのは危険を伴うので、あまり勧められません。
頸椎椎間板ヘルニアの大部分は1度の発症ですみますが、再発もあるので、治っても日常生活には気をつけたいものです。

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http://www.medical-tribune.co.jp/kenkou/199503212.html
出典 あなたの健康百科 Medical Tribune
   「ご存知ですか」首の椎間板ヘルニア
(一部改変)


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(画像をクリックすると拡大します)
出典 朝日新聞・朝刊 2010.2.22
版権 朝日新聞社



<関連サイト>
頸椎椎間板ヘルニア
http://health.goo.ne.jp/medical/search/109B0100.html
(gooヘルスケアでは各疾患が上手にまとめられています)



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小野月世 「暖かな日」 30P
http://www.nichido-garo.co.jp/exhibition/2010/03/post_124.html



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