過剰な紫外線ケアと粗鬆症

骨粗鬆症は若いうちにどれだけ骨を丈夫にしておけるかで、将来のリスクはまったく違ってくる。

骨粗鬆症で、やっかいなのは自覚症状がないこと。
実際に骨折し痛みやしびれを感じて初めて、この病気だとわかる人も多い。

■国内の推定患者数は約1200万人。
男女比は1対3。
女性のほうが圧倒的に多いのは、もともと骨の量が少ないうえ、骨密度の低下を抑える女性ホルモンが閉経後に減るためだ。
60代の女性の半数は骨粗鬆症だともいわれる。

■骨が最も丈夫なのは20歳ごろ。
その後年齢とともに誰でも骨量は減る。骨は常に新陳代謝をしているが、骨をつくる働きが壊す働きに追いつかなくなるからだ。
若いときにどれだけ「骨のカルシウムの貯金」をしておけるかが鍵だ。

■偏食や過激なダイエット、運動不足などのほかに、「過度な紫外線(UV)対策」も「若い女性のライフスタイル」として骨粗鬆症の懸念材料となる。

■骨の主成分であるカルシウムの吸収を高めるには、ビタミンDが必要。
このビタミンDは魚や干しシイタケなどの食物からもとれるが、紫外線にあたることで皮膚でも合成される。

■当然、過剰にUVケアをすると、骨にはよくない。
1日15分を目安に、手首から先くらいは日焼け止めを塗らずに日にあてるようにしよう。

■最近の研究で糖尿病や高血圧など生活習慣病の人は骨密度が高くても骨折しやすいことがわかってきた。
女性は閉経後には必ず、男性は60~70代になったら一度は、骨密度の検査を受けておいたほうがよい。

■検査の結果、20~44歳の平均的な骨密度の70%未満だと、骨粗鬆症と診断される。

■運動は骨の強化につばがり、筋肉がつけば転倒を防ぐことが出来る。

■「予防こそが大事な病気」ともいえる。

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◆相談ナビ
骨粗鬆症財団
http://www.jpof.or.jp/

MSD
http://www.msd.co.jp/
(「健康と薬の情報」欄に旬の食材を使った「骨を丈夫にするためのメニュー」を掲載)

<私的コメント>
紹介記事の文中に「骨の減少を抑えるビスフォスフォネート薬を飲んだり、骨をつくるテリパラチド薬を注射したりする治療がずっと続く」と書かれていますが、5年の治療継続でも骨折がしにくくなるという論文もあります。
一生治療を継続すると思うと心が折れてしまいがちです。
主治医とよく相談してみましょう。


出典 朝日新聞・apital 2012.6.21(一部改変)
版権 朝日新聞社
http://www.asahi.com/health/tsuushinbo/TKY201206200375.html


<参考サイト>
ビスホスホネート長期使用のエビデンス不足
http://wellfrog4.exblog.jp/17968771/


(いずれも医師向けの内容となっています。服薬期間については議論が多いようです)


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                  京都にて


読んでいただいて有り難うございます。
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