RSウイルス 夏から大流行

RSウイルス 夏から大流行… 乳児の肺炎・気管支炎招く

毎年冬に本格的に流行するRSウイルスが、今年は夏から例年を大きく上回るペースで流行している。
年長者が感染しても軽い風邪程度で済むことが多いが、1歳未満の子どもや早産児などは、重症化の恐れがある。
予防を心がけたい。(野村昌玄)



RSウイルスは乳幼児が感染しやすい呼吸器感染症で、2歳までにほぼ全ての子どもが一度は感染する。

国立感染症研究所(東京・新宿区)感染症情報センターによると、流行のピークは例年12月~翌年1月で、夏の感染者の報告数は少ない。
だが2011年は6月末から増加傾向にあり、調査を始めた03年以来、最多を記録する状況が続いている。

RSウイルスは感染しても、多くは鼻水やせきなど、鼻やのどの炎症にとどまり、普通の風邪の症状で治まる。
だが、1歳未満の乳児は肺の抵抗力が未熟なため、こじらせて肺炎や細気管支炎などを引き起こしやすい。
乳幼児の肺炎の約5割、気管支炎の5~9割は、RSウイルスが原因との報告もある。

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昭和大病院(東京・品川区)小児科医師の水野克己先生によると、せき込んで水や食べたものを吐き出したり、呼吸が浅くゼイゼイして息を吐きにくくなったりするのは重症化のサインで、すぐに受診する。

通常11月頃から流行するインフルエンザは、ワクチン接種で発症や重症化をある程度抑えられ、抗ウイルス薬による治療の手段もある。
一方、RSウイルスはウイルスを排除する免疫ができにくい。
ワクチンはなく、流行期に何度も感染してしまう恐れがある。抗ウイルス薬もない。

症状が重い場合には、入院が必要なこともある。
酸素吸入や点滴による水分補給が行われる。

厚生労働省の人口動態調査によると、10年にインフルエンザが原因で亡くなった161人のうち6割近くが65歳以上の高齢者だったのに対し、RSウイルスによる死者13人は全て4歳以下だった。
水野さんは「特に1歳未満の子どもがいる家族は、なるべく感染しないよう、常に予防を心がけてほしい」と強調する。

RSウイルスに感染する原因は大きく二つ。
せきやくしゃみなどのつばに含まれたウイルスを吸い込むことなどによる飛沫感染や、ウイルスが付着した手で口や喉、鼻などに触れて感染する接触感染だ。

健康な大人や年長の子どもなら、発熱やせきが出ても1~2週間で回復する。
感染が見過ごされる恐れもあるため、周りに乳児がいる場合は、ウイルスを含んだつばなどの飛散を防ぐためにマスクを着用し、せきエチケットを心がける。

調理や食事の前、鼻をかんだ後はよく手を洗う。
たばこの煙も症状を悪化させる。外出後は、手洗いやアルコール消毒も有効だ。

早産児や、先天性の心臓病や慢性肺疾患などのある子どもは重症化する危険性が高いため、重症化を防ぐ抗体薬シナジス(一般名・パリビズマブ)を、流行時に使うことが保険適用されている。

月に1度注射し、流行期間中、続ける。

出典 YOMIURI ONLINE yomi.Dr. 2011.11.12
版権 読売新聞社