健康寿命

先進国の高齢者は元気

世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、病気や認知症、衰弱などで要介護状態となった期間を、平均寿命から差し引いた寿命のことを「健康寿命」と言う。

2000年の統計によると、男性が65歳以上での障害期間は0.7年、女性は1.4年とされる。
当時の男性の平均寿命は76.4歳だから、健康寿命は75.7歳になる。
女性の場合は当時の平均寿命が82.9歳だったから、健康寿命は81.5歳になる。
これはメーリングリスト「公衆衛生ネットワーク」を主宰する切明義孝氏による数値で、市町村の要支援、要介護者数から計算している。

健康寿命にはさまざまな計算方法があり、ある統計では平均寿命と健康寿命の差を6年程度としている。

これを聞くと、私たちの晩年は惨めに思えるが、切明氏の計算はかなり正確なので、これによると、多くの人の場合、要支援、要介護の年月は1年前後ということが分かり、やや安心する。

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に示すように、主要な国では、高齢者が不自由を感じるような動作の障害の率は減っている。
日本の場合、66歳以上の男女で1993年から2002年の間に動作に障害がある人の率は、年率で3.99%減っている。
欧州では70歳以上の人が身の回りのことを自分でやるのに不自由を感じる女性の率は、1988年から2000年の間に年率2.2%減っている。
米国では買い物をするとか、料理を作るなどという手段的日常生活動作に不具合を訴える75歳以上の男女は、年率で1.46%減っている。

国別に見てもオランダの場合、手段的日常生活動作の不具合を訴える男性は年率4.57%、女性は4.29%減っている。
これはスウェーデンデンマークなどの北欧の国でも同じ程度に見られる。

このように先進各国で高齢者が体を動かしたり、買い物、洗濯、電話、金銭管理、薬の管理、乗り物に乗るなどの手段的な生活動作を不自由なくやっていることは、私たちに希望を与える。

なぜ高齢者がすべて、生活は不自由になり、介護されるようになるという印象を持つのだろうか。
実際には、高齢者はどんどん健康になっている。(浜松医科大名誉教授・高田明和)

出典 中日新聞 2012.1.12
版権 中日新聞社

<私的コメント>
何だか「しり切れトンボ」な記事です。
障害期間もこんなに短いのが何だか信じられないくらいです。
「高齢者が不自由を感じるような動作の障害の率」が減っている理由も知りたいところですよね。