特発性じんましん

原因探しより抗ヒスタミン剤

じんましんは命にかかわることはまれでも、かゆみと見た目の悪さは気持ちを落ち込ませ、仕事や勉強の能率も落ちてしまう。早く治すにはどうしたらいいのか。

まずは、自分がどのタイプのじんましんか。それをきちんと知ることが、治療の第一歩。
かかりつけの内科や小児科、皮膚科などで、早めに見極めてもらうことが大切だ。

    ◇

昨年に改訂された診療ガイドラインでは、じんましんのタイプは主に四つ。
(1)食材や体温上昇などの刺激が引き金になるタイプ
(2)顔や唇がパンパンに腫れるなどする血管性浮腫
(3)ほかの病気が原因のケース。
そして、
(4)原因不明の「特発性」のじんましん
だ。

食べ物などがきっかけになるのはよく知られているが、ガイドラインづくりで委員長を務めた秀さんによると、患者の約7割は「特発性」という。
特に、大人はこのタイプが多い。

「引き金」がわかれば、取り除く努力をすればいい。
しかし、思い当たる節がない場合、「特発性」の可能性が高く、原因を探そうと病院巡りをして検査を繰り返したり、食事に原因を見つけようと神経質になったりするのは、あまり意味がない。
むしろ、引き金の「原因探し」は忘れて、対症的な治療をきちんと続ける方が早く治るという。

治療の柱は抗ヒスタミン剤を飲むこと。
花粉症の治療でも広く使われている。
引き金があるタイプに比べて、特発性は抗ヒスタミン剤が効きやすい。

大切なのは、皮膚の症状が消えたあとも、しばらくは飲み続けることです。
自己判断で中断すると、症状がぶり返す危険があるからだ。

とはいえ、症状が消えてからも薬を飲み続けるのは、心にも、財布にも負担になる。
どれくらい飲み続ければいいのか。

症状が続いた期間がポイントだ。
1カ月以内で皮膚の症状が消えたときは、その後の数日から1週間程度飲み続ける。
2カ月以内で治まればその後1カ月。
2カ月より長引くときは2カ月以上は飲むのが、今の一応の目安。飲み続けて再発がなければ、薬を減らす。
最終的に約3日に1回の服用で症状がなければ中止を考える。

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根気よく治療を続けるためにも、薬が必要な理由と副作用をよく説明してもらおう。
治療の必要をよく理解することも、きちんと治す近道だ。

また、じんましんは老若男女に出るが、特に30~40代の患者が多い。
働き盛りのストレスや疲れ、感染症は、症状を悪化させる要因になる。
できるだけ、それらの要因を避けるようにして、生活リズムと体調を整えることが、早く治すコツだ。
(権敬淑)

◆相談ナビ
「嫌いな人に会うとじんましんは本当にでるか」など身近な疑問に答える形で、わかりやすく説明した冊子「蕁麻疹(じんましん)ってどんな病気?」が、日本アレルギー協会のホームページの「アレルギー情報館」でダウンロードできる。

出典 朝日新聞・apital 2012.4.5
版権 朝日新聞社


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国立新美術館 「セザンヌ展」
2012.4.8 14:49撮影



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