ねんざ・骨折…中高年、ケガしない運動のコツ

日ごろの運動不足を解消するため、スポーツを新たに始めたり、再開したりする人は多いだろう。
しかし、若いころのイメージでいると、けがをしやすい。
中年過ぎからのスポーツは、体に負担をかけない動き方や筋肉の柔軟性を取り戻す対策などが必要になる。

市民マラソンが各地で開かれるなど空前のブームといわれるランニング。
気軽に始めてみると、タイムが大幅にアップ。つい熱中してしまうが、無理は禁物だ。
ねんざや骨折などの急性外傷だけでなく、腰痛や膝痛といった慢性障害を起こすこともある。

■ランニング、蹴らず「トコトコ走り」で
ウオーキングは必ずどちらかの足が地面に接しているが、ランニングをしているときは両足が地面から離れる瞬間があり、ある程度の高さから片足で着地する。
かかとはもちろん、足首、アキレスけん、腰などにかかる衝撃は意外に大きい。

アシックスのスポーツ工学研究所の田川武弘・機能研究部長は「受ける衝撃は平均で体重の2.3倍になる。小さくて2倍、大きいと3倍に達する人もいる」と話す。
地面にセンサーをつけて500人を超える男性や女性の走り方を分析した結果だ。
体重が10キログラム違うと衝撃は30キログラムも違う計算になる。

よくないのが、弾むような走り方だ。
重心の上下動が増え、足などへの衝撃が大きくなりやすい。
中学や高校生のときに運動部に所属していた人はダッシュのクセがついており、要注意だという。

「ランニングを再開した人や初心者が目指す走り方は“トコトコ走り”だ」と田川部長は話す。
ウオーキングを少し速くしたようなフォームで、重心の上下動が少なく、進行方向に滑らかに移動していくのが特徴だ。

直立して前方に体重をかけると、自然に足が出る。
地面を蹴ろうという意識ではなく、体重移動を使って足を置いていくイメージ――。
これが走り方のポイントだと田川部長はアドバイスする。

体にかかる衝撃を緩和するには、シューズの選び方も重要になる。
初心者は疲れにくいのではないかと軽いものを選びがち。
しかし、軽いシューズは機能をそぎ落とした上級者向けのものだ。
アシックスの相阪由美子さんは「多少重量があっても、クッションに厚みのあるものを選んだ方がよい」と忠告する。

また、足にフィットするのが重要だ。
試し履きするのは足がむくむ夕方の方がよく、片足で立って体重をかけたときの状態も試すべきだ。
靴ひもは履くたびに足の先端部分から締めるのがよいという。

若いころにやったスポーツを再開するときは、気をつけよう。
イメージ通りにならないため、むきになりがちだ。例えば、中高年が余暇で楽しむ草野球は今も根強い人気がある。
再開してみると、筋力の衰えに加え、肩などの柔軟性の低下を痛感する人が多い。

イメージ 1



■関節や筋肉のストレッチを
中高年は中高生のように“使いすぎ”によるスポーツ障害は少ないが、肩や肘を痛める人はいる。
大阪厚生年金病院スポーツ医学科の米田稔主任部長は「野球肩は加齢からくる五十肩と似ている」と指摘する。

肩周辺の筋肉は疲労が蓄積するとこわばる。
さらに普段肩をあまり動かさない生活をしていると、次第に硬くなって肩関節の動きが悪くなる。
そんな状態で力を入れてボールを投げると、肩関節の周辺が傷つき、炎症によって痛みを感じるようになる。

「予防には柔軟性が一番大事だ」と米田主任部長は強調する。
筋力を高めるとともに、ストレッチなどで硬くなった関節や筋肉の柔軟性を取り戻す必要がある。

「肩周辺の筋肉を柔らかくすれば、中高年でも十分いける」。
そう指摘するのは、健康運動指導士で野球トレーニングに詳しいミズノスポーツサービスの出口義明さんだ。
ミズノは肩周辺の筋肉の柔軟性を取り戻す体操プログラムを考案、野球教室などで紹介している。

簡単な体操だが、再開直後は遠投できなかった野球経験者が以前に近いレベルに戻った例もあるという。出口さんは「肩こりの解消にもなる」と笑う。

イメージ 2



昔とったきねづかだからまだできると考えることが最も危ない。
中高年のスポーツは楽しむことに徹した方がよい。無理なガンバリは避けよう。 (新井重徳)



<関連サイト>
ねんざや肩こりの対処法
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2011/07/22