梅のパワー

胃潰瘍動脈硬化などを防ぐ梅のパワー 1日2個、塩分は要注意

「梅はその日の難逃れ」
このことわざのように、梅干しを朝に食べると、病気などを免れると、昔の人は経験から伝えてきた。

■マウスに高塩分の食事を与えて高血圧を起こさせる実験で、食事に梅エキスを加えたグループと加えていないグループで血圧を比較してみた。
すると、梅エキスを一緒に食べたマウスは、食べていないマウスよりも血圧が10%程度、低く抑えられていた。
梅エキスが動脈硬化を引き起こす血管の筋肉の肥大を防いでいることがわかった。
  (和歌山県医大 宇都宮准教授)

■この研究者は、ポリフェノールの一種「リグナン」に着目。
胃潰瘍の原因となるピロリ菌の培養液の中にリグナンを加えたら、変形したりしてピロリ菌の働きが弱まった。
ピロリ菌の働きを半分に抑えるには、梅干し5個分相当のリグナンが必要だったが、「1、2個分でも効果はある」という。

■また、インフルエンザウイルスが感染した培養細胞にリグナンを加えたら、ウイルスの増殖が抑制されることもわかった。

■梅の有効成分はリグナンだけではない。
別のポリフェノール「ヒドロキシ桂皮酸」にも、高血圧防止やウイルスの増殖を抑える効果のあることが分かってきた。
また、この酸をマウスに与えて泳げる時間を調べたら、与えていないマウスより1~5割、長く遊泳できた。

■ただ、数々の健康効果があるからといって、たくさん食べれば良いわけではない。
梅干しには10%程度の食塩が含まれている。
1個10グラムだと1グラムに上る。
厚生労働省が定める1日の塩分の摂取目標量は、成人男性9グラム未満、女性7・5グラム未満だ。
1日の食事全体で塩分を調節する必要がある。
梅干しは1日2個程度を目安に。
増やす場合には他のメニューの塩分を抑える工夫が必要だ。

■香り成分のベンズアルデヒドに抗菌作用がある。
梅干しにも同成分があり、日の丸弁当が傷みにくい理由の一つではないかとみられている。

出典 朝日新聞・朝刊 20142.15
版権 朝日新聞社


<まとめ>
梅干しに含まれるポリフェノールの効果
動脈硬化を予防
② 菌、ウイルスの増殖予防
③ 疲れにくい