日本でエボラ出血熱の患者がでたら?

日本でエボラ出血熱の患者がでたら、どうなるのか
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO78834770U4A021C1000000/
エボラ出血熱は空気感染や飛沫感染がない。
感染している人や動物の血液・体液を触り、手の傷、目や鼻、口の粘膜からウイルスが侵入しない限り、感染する危険性はない。
流行国で患者の治療・ケアをしたボランティアなどの感染者が日本に帰国したり、入国するリスクはあるが、日本での流行は考えにくい。
日本で感染が広がる心配はない。

■特徴・症状
エボラウイルスによる急性熱性疾患。
突然の高熱、脱力感、筋肉痛、喉の痛み、頭痛が出たあと、嘔吐、下痢、発疹、肝障害・腎機能の異常が生じ、歯肉や鼻、消化器など粘膜から出血し、吐血・外血することがある。
発症者の約50%が死亡。

■現在の主な流行地
ギニア、シェラレオナ、リベリア

■潜伏期
2~21日

■感染経路
エボラウイルスに感染した人または動物(オオコウモリ、ゴリラ、チンパンジーなど)の血液や体液に接触した場合のみ感染の恐れがある。
空気感染や飛沫感染はない。

■治療・予防
現時点で予防・治療薬はなく、解熱鎮痛薬、下痢止め薬など対象療法が中心。

■感染者に触れる機会の多い医療関係者や家族を除けば、原則、一般人が感染する心配はない。


■WHO(世界保健機関)によると、2014年10月25日までに西アフリカで感染が確認されたか疑われる患者は1万141人。
うち死亡は4922人(致死率49%)。
感染が拡大したのは、流行国では感染症への知識が普及しておらず、感染を防ぐ手袋、滅菌ガーゼ、使い捨ての医療器具などが不足している社会的背景も大きい。
また致死率が高いのは、もともとこのウイルスの病原性が高いうえ、予防・治療法がないため。

■ウイルスは生きた細胞の中で増殖する性質があるため、元気な細胞を温存してウイルスだけ攻撃する薬の開発は難しい。
そのため、インフルエンザやエイズなど一部の病気を除き、ウイルス感染症には治療薬がないのが実態。
エボラ出血熱に関しては、未承認薬のZMappと抗インフルエンザ薬のファビピラビルの2つが治療薬の有力候補だが、どちらも人に対する効果は未知数。

■ファビピラビルは富士フイルムホールディングスが開発した日本発の薬で、海外では他の未承認薬と合わせて一部の患者に投与され、回復した患者もいる。
フランス政府とギニア政府が11月からエボラ出血熱に対するファビピラビルの臨床試験を開始する予定。

■万一、日本でエボラ出血熱が疑われる患者が出た場合、国立感染症研究所で検査が行われ、感染が確定した患者は感染症指定医療機関で治療される。
厚生労働省は、国内での治療に未承認薬のファビピラビルの使用を認める方針。


効果が期待される2つの未承認薬
・ファビピラビル(商品名・アビガン)
富士フイルムグループの富山化学工業が開発した抗インフルエンザ薬。内服薬で、細胞内での遺伝子複製を阻止することでインフルエンザウイルスの増殖を防ぐ。
→インフルエンザとエボラウイルスは遺伝子の複製の仕組みが似ているため、エボラ出血熱への効果が期待される。
マウスでの実験ではエボラ出血熱に対する効果が認められているが、霊長類、ヒトへの効果・副作用は不明。

・ZMapp
米マップ・バイオファーマシューティカル、カナダのデファイラスら3社と米政府、カナダ公衆衛生庁の共同プロジェクトで開発されているエボラ出血熱の治療・予防薬候補。
→遺伝子組み換えタバコの葉の中で作られる3種類の抗体薬を混合。エボラ出血熱に感染したサルに対する治療効果は認められているが、ヒトへの効果・副作用は確認されていない。緊急措置として、感染したリベリア人、ナイジェリア人の医師などに投与。



参考
感染経路とは? 空気感染(飛沫核感染)とは? 飛沫感染とは? 接触感染とは?
http://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/7664.pdf



私的コメント;
「体液」という表現は余りにも漠然としています。
エボラ出血熱の感染源を述べる場合にもその点をはっきりするべきです。
広い意味での体液には唾液、胃液、胆汁、膵液、腸液、汗、涙、鼻水、尿、精液、膣液なども含まれます。
唾液が感染源になるのなら当然飛沫感染もありうることになるからです。