機能性表示食品

  「機能性表示」食と健康に一石 効果うたい販売、国の審査不要

来春制度導入、生鮮も対象 データを届け出
 
新しい食品の表示制度が2015年春に始まる(始まった)。
(私的コメント;記事は2014年12月)
健康への効果や機能を国の審査を経ずに事業者の責任で表示できるようになる。
サプリメントなどのほかに野菜や魚といった生鮮食品も対象だ。
「体によい」をキーワードに食品市場の売り上げ増につながるとの期待がある。

 

新制度によって表示されるのは「機能性表示食品」で、遅くとも6月には店頭に並ぶ見込み。
食品に含まれる「健康効果」を、どの成分が関与して、効く仕組みがどうなっているかなど、一定の科学的根拠が確認された場合に表示できる。
「目や鼻の調子を整える」「骨の健康を保つ」といった表現も可能になる。
 
科学的な根拠を判断するのに必要な条件や表示内容について、消費者庁が今年度(2014年度)中に公表予定の指針(ガイドライン)などで示すが、満たしているかどうかの個別審査はしない。
事業者は発売の60日前までに消費者庁に有効性を判断したデータや成分の含有量などを届け出ればよい。

 

トクホより手軽
ドラッグストアなどに行けば、今もたくさんの健康食品が売られているが、国が健康効果を表示してよいとしているのは、特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品の2つのみ。トクホは商品ごとに有効性をみる臨床試験が義務付けられているほか、専門家による審査を経て消費者庁が許可する。
栄養機能食品はビタミンやミネラルなど17種類の成分を一定量含んでいなければならない。
機能性表示食品が誕生した背景には、規制改革による健康関連産業市場の育成を念頭に進められてきた経緯がある。
酒や塩分などを必要以上にとるものを除き、対象を原則すべての食品に広げた。
トクホや栄養機能食品では認められていなかった野菜や果物などにも表示ができる。
 
トクホの承認を得るには臨床試験などで多額の費用がかかり、手続きに一定の知識や期間が必要で、大手以外の中小企業にはハードルが高い。
「チャンスなので健康に良いことを打ち出して消費拡大につなげたい」(ある農業協同組合幹部)
 
国の関与をできるだけ小さくする一方で、安全性や質を保つ仕組みも導入される見込み。例えば、企業が科学的根拠を評価する際に自己流にならないようにする。
体に効果をもたらす成分の特定を求め、その成分を含む最終製品を使った臨床試験が難しい場合は、有効性を検討した査読付きの論文が十分あり、肯定的な結果があるなどの研究レビューを示せばよい。
 
サプリメントなどでは有効な成分が本当に一定量入っているか、体内できちんと分解されるかなどを示すデータも同庁への届け出項目に入っている。
現在市販されているサプリメント類は品質がばらばらだからだ。
国立医薬品食品衛生研究所の薬品部長である合田幸広さんが調べた健康食品のうち3割が原料が入っていないか、表示以外の原料が混ざっていた。
消費者庁は、商品の発売後、新制度に基づいた表示通りかを調べるため、商品を買い上げて専門機関で分析する予定。
ライバル企業や消費者が表示と違うのではないかという申し出もできるようにする。
もし違反がわかれば、法律に基づいて企業名の公表や勧告などを出す。
いいかげんな表示をすれば社会的制裁を受ける。
それなりにハードルは高い。

 

「消費者混乱」の声
玉石混交といわれる健康食品。
トクホと栄養機能食品に次ぐ「第3の健康食品」をつくることで、本当に効果があるものとそうでないものとを分け、消費者が選べる仕組みをつくるのが狙いだ。
 
ただ、健康食品は効果を具体的に示さなくても、「□□が気になる方へ」「◎◎に潤いを」などの表示で、消費者に体によさそうな印象を持たせ、販促につなげているケースも多い。機能性表示食品の登場で、より健康食品の世界が複雑になり、消費者が混乱してしまうとの声も多い。
 
「機能性表示食品を含めて医薬品と混同・誤認されるリスクもある。専門知識を持って消費者の目的に合わせて説明や助言をする人材が必要」と指摘する専門家もいる。


<食品の機能性>
食品の中にわずかに含まれている成分が、なんらかの健康効果を発揮すること。
1980年代半ばに東京大学などを中心に研究された結果、世界に先駆けて日本から「機能性を持つ食品」の概念が生まれた。
食品には病気予防や老化防止などの助けになる成分がいろいろ含まれており、これらを抽出して効果的に摂取できるよう工夫が進んだ。
 
生きていくために欠かせない栄養、食を楽しむ味覚や嗅覚に次ぐ食品の第3の機能として注目されるようになった。
食物繊維を含んだ飲料などがヒットし、健康志向の広がりと合わせていろいろな商品が登場した。


加工食品の機能性表示のイメージ

・機能性表示食品(受理番号○○○)
・商品名(鼻よくなーる)
・機能(本品は鼻の調子を整えます)
・国の審査を受けていないことを示す説明

 

 例)本品は事業者の責任において特定の保健目的が期待できる旨を表示するものとして
 消費者庁長官に提出されたものです。
 ただし、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありま
 せん

 

横や裏
・栄養成分
・1日当たりの摂取目安量
・1日当たりの摂取目安量当たりの能性関与成分の含有量
・摂取する上での注意事項
 例)本品は疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません
・事業者名
・問い合わせ先:電話番号などなど
・機能性や安全性に関する詳しい情報のURL


出典