目がかすむ

《目がかすむ》 画面見続ける生活で疲れや乾き

日常生活で目がかすむことは誰でも経験する。
しかし、重大な病気が隠れていることもある。
症状が長引いたり、繰り返したりするときは注意したい。

疲労やストレスがたまると脳の機能が下がり、目のピント調節がうまくいかず、かすんで見えることがある。普通は休めば回復するが、現代の生活は目がかすむ原因であふれている。

一日中、パソコンや携帯電話の画面を見続けるような生活を続けていると、かすみが戻らなくなったり、疲れやすくなったりする可能性がある。

もともと人間の目は、辺りを警戒するため周囲をきょろきょろ見回すのに適しており、近くの一点を見続けることに慣れていない。
近くを見るときはピントを合わせるために目のレンズ(水晶体)を厚くし、瞳を小さくする。
この状態を続けるのは負担となる。

また画面を見続けると、まばたきの回数が減り、涙が乾いてドライアイにもなりやすい。ドライアイは目がかすむ大きな原因だ。

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エアコンによる乾燥やコンタクトレンズの長時間使用もドライアイの原因になる。
ドライアイになると、角膜が傷つきやすくなり、コンタクトレンズ自体が角膜を傷つけることもある。
こうした複数の要因が重なって目のかすみにつながることもある。

予防のためにはエアコンの風が直接目に当たらないようにする。
乾燥しがちなこれからの季節は加湿器を使うのもいい。
パソコン使用時に休憩をこまめに取るなどふだんの生活の工夫も必要だ。

ドライアイの治療で処方される点眼薬には目の水分を保ったり、傷を治したりする成分が入っている。
目の乾きや疲れへの効果をうたった市販薬もあるが、医療用はOTCより高い効果が期待できる。

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一方、年齢とともにピント調節機能が衰え、近くや遠くがかすんで見えることもある。
いわゆる老眼で、眼鏡で調整する。

高齢者に多い白内障は水晶体が濁ることで起こり、目が徐々にかすんでくる。
がんの放射線治療や薬の副作用なども要因になる。
症状が進めば水晶体を人工のレンズに替える手術が検討される。

目が急激にかすんで、1日たっても治らなかったり、悪くなったりする場合は要注意だ。目の中に炎症が起きるぶどう膜炎網膜剥離や糖尿病による出血など重大な病気のおそれもある。


<関連サイト>
「目についての健康情報」
http://www.gankaikai.or.jp/health/
(日本眼科医会のサイト)

「目の情報ポータル」
http://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/
参天製薬のサイト。目の病気の基礎知識が得られる)

出典
朝日新聞・夕刊 2015.11.2(一部改変)