足の血栓、長い目で用心を

足の血栓、長い目で用心を 避難所・車中泊で相次ぐ

熊本地震では、避難所や車中泊の生活で、「エコノミークラス症候群」(肺塞栓症など)の患者が相次いでいる。
重症化を防ぐには足の静脈にできた血栓の早期発見が大切だ。
長期的にもフォローが必要になる。
心筋梗塞などほかの心臓病にも気を配ることも重要だ。

私的コメント;
心筋梗塞は「静脈の血栓」とは関係がありません。

運動や水分こまめに
今回の地震で、
ある病院の医師のチームが被災地の人達の診察をした。
超音波検査で足の静脈に血栓ができていないか調べると、約60人の1~2割から見つかった。

エコノミークラス症候群」には、ふくらはぎなど主に足の静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」と、できた血栓がはがれ、血流に乗って肺の血管をふさぐ「肺塞栓症」がある。
命にかかわる肺塞栓症を防ぐには、血栓を早く見つけることが何より重要だ。
 
血栓はこまめに水を飲み、歩いたり運動したりすることで自然に溶ける場合がある。
しかし一度足にできると再発しやすい。
溶けずに残って次第に大きくなると、例えば1年後に血管からはがれ肺の血管を詰まらせることもあるという。
 
2004年の新潟県中越地震の被災地では、地震7日後に初めて検査を受けた被災者の35%から血栓が見つかった。
1カ月後は13%に下がったが、5カ月後には21%に増加した。
1年後に初めて検査を受けた被災者で血栓がみつかったのは8%だった。
 
仮設住宅に移ったり、普段の生活に戻ったりしても、足のむくみや痛み、息苦しさなどを感じたら、早く医療機関を受診してほしい。
治療が必要と判断されれば、血栓を溶かす薬を点滴したり、血栓をできにくくする薬を飲んだりする。

胸の痛み、息苦しさも
長引く避難生活で注意が必要なのは肺塞栓症や足の静脈の血栓だけではない。
 
大きな地震で被災した人たちは精神的、身体的なストレスを受け、急性心筋梗塞心不全なども増える。
熊本地震でも同県阿蘇市の避難所にいた女性(77)が急性心不全で亡くなり、震災関連死とみられている。
 
心筋梗塞などが起きたらすぐ治療する必要がある。
急な胸の痛みや圧迫感、息苦しさなどを感じたらすぐに受診したい。
 
新潟県中越地震の後に多発し、注目されたのが「たこつぼ心筋症」。
心臓が異常に収縮した時の形が、上の方がくびれる「たこつぼ」に似ている。
熊本地震でも患者が出ている。
 
過度のストレスなどによって、心臓の筋肉の一部が収縮しにくくなり、正常に血液を送り出すことができなくなる。
症状は急性心筋梗塞に似て、胸の痛みや圧迫感、息苦しさ。
急性心筋梗塞が男性に多いのに比べて、たこつぼ心筋症は高齢の女性に多いのが特色だ。
 
約2週間で回復する人が多いが、不整脈心不全が起きないように対応が必要。
循環器の専門家による診療を受けてほしい。
 
不整脈の一種「心房細動」などの持病がある人は、心臓で血栓ができ、脳の血管に飛んで脳梗塞をおこす恐れもある。
いままで抗血栓薬を使っていた人で、薬を持ち出せずに飲めていない状態が続いていたら、お薬手帳がなくても早く救護所や医療機関に行って相談してほしい。

 
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出典
朝日新聞・朝刊 2016.4.27


関連サイト
下肢深部静脈の病気
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/blood/pamph52.html#anchor-7

血栓症の症状や原因は?日常の中でできる簡単な3つの予防法
https://welq.jp/2975