むだ毛処理、自己流は危険

むだ毛処理、自己流は危険

肌を見せることの多いの季節は、むだ毛を気にする人は多い。
最近は女性ばかりでなく、男性もすね毛や腕の毛を処理する人が増えているようだ。
しかし、自己流のむだ毛処理を行っていると、皮膚炎や肌の黒ずみなど、思わぬトラブルを招くことにもなる。

乾燥肌や黒ずみ、感染症
脱毛をする医療機関には、名刺交換などのビジネスシーンで、自分の手の甲や腕の毛が気になるといって脱毛に訪れる男性が増えている。
 
とはいえ、多くの人は自分で脱毛や除毛をしている。
不適切な処理方法で乾燥肌やかゆみ、感染症などのトラブルを起こすこともある。
 
家庭でできる主なむだ毛処理法にはそる、抜く、除毛・脱色剤を使うなどがある。
しかし、「そる以外の方法はお勧めしない」と専門医はいう。

抜いた毛穴に菌
毛抜き1本で手軽な「抜く」方法を行う人は少なくない。
しかし、抜毛は皮膚への刺激が大きいうえに、扱き取った毛穴に細菌が入って毛のう
炎という皮膚炎になる可能性がある。
 
毛のう炎では、毛穴が赤く腫れる。
そのまま治ることもあるが、悪化すると感染が皮膚の深部にまで広がり壊死を起こす蜂高級炎(ほうかしきえん)になることもある。
腫れや痛みがあれば医療機関での抗生剤による治療が必要となる。

さらに、毛を抜く時には毛穴の回りの皮膚も一緒に引っ張られる。
長年抜毛を続けていると、毛穴が立って、鶏の皮のようになる。
ワックスで抜くのは、もっと肌へのダメージが大きい。
毛だけでなく、皮膚表面の角質層も一緒に厚くはがすので、肌が乾燥しやすくなったり紫外線への防御
機能が低下したりする。
 
家庭でのむだ毛処理で一番安全なのは、そる方法だ。
ただし、その場合にも押さえておくべきポイントがある。
 
まず、カミソリの場合には、刃の枚数が3、4枚のものを使うこと。
刃の数が多いほど、皮膚への圧力が分散しやすくダメージが少ないからだ。
電気カミソリは振動で毛を浮かせながらそるので、肌への負担が少ないという。
 
次に、処理する部位を清潔にすること。
肌が傷ついても細菌感染を起こしにくくするためだ。
そる際には、シェービングローションや石けんの泡などで刃の滑りを良くするとともに、毛を柔らかくすることも重要だ。
しっかりとそろうとするあまり、毛の流れと逆にそる人がいるが、肌を傷つけてしまう。毛の流れに沿わせる。
 
そった後、ヒリヒリしたり赤くなったりしたら力の入れ過ぎだ。
入浴時にむだ毛処理をすることが多いが、そった後は皮膚を鎮静するため、ぬるめのシャワーか水で軽く流し、入浴は控える。
 
保温剤でケア 
どんなにやさしくそっても、皮膚表面の角質は削られてしまうので保温は矢かせない。
敏感肌用ローションや乳幼児用ワセリンなど、刺激の少ない保温剤を表面に塗る。
そる前の肌で自分に合うかどうか試しておこう。
また、そった後は紫外線を防御する力も低下する。
外出時は日焼け止めクリームなどで紫外線ケアも忘れないように。
 
ダメージを最小に抑えるには、そる頻度をできるだけ少なくする。
毛の量や伸びの速さにもよるが、数日はあけたほうがよい。
 
皮膚とカミソリ清潔に、日焼けに注意
もう一つ大事なのが、カミンリの管理だ,
感染を防ぐため、常に清潔に保つ。
使用後は消毒用アルコールなどで拭き、浴室に放置せずに十分に乾燥させる。
切れ昧が悪くなったカミソリも肌にダメージを与えるので、2~4週間ごとに新しい物
に替える。
 
顔の産毛を剃る人も多い。
しかし顔の場合、それが刺激になって黒ずむことがある。
特に30代から増える女性のシミの一種、肝斑(かんぱん)の人は症状が悪化するこ
ともある。
どうしてもそるなら電気シェーバーがよい。
 
何度も剃るのは面倒、体毛が濃く剃毛ではすぐ目立つという人は、医療機関のレーザー脱毛という手もある。
これは、黒い物に吸収されるレーザー光をあて、そこで発生する熱で毛根を壊して毛が生えるのを抑える療法だ。
数回の施術で脱毛できる。
ただし機器によっては毛の色が薄い人や肌の色が黒い人は期待通りの効果がない場合もあ
るという。

鼻毛はカッターで 切り過ぎ厳禁
すねやワキの毛と同様、気になるのが鼻毛。
指でつまんで一気に抜く人もいるが、実はそれは大きな聞違いだ。
 
鼻毛はホコリなどの侵入を防ぐ機能があり細菌も多く付着している。
毛を抜いて傷んだ毛穴に細菌が入って毛のう炎になることもある。
鼻口の中心側はもともと血も出やすい場所。
 
鼻毛の処理は、肌に直接刃が当たらない専用カツターでそるのがいい。
 
鼻口から1センチほど奥は粘膜。
鼻毛には湿度や温度を調節して喉や肺を健康に保つ役割もあり、そり過ぎは厳禁。
そるなら鼻口から5ミリ程度に。


◎ 自分での主なむだ毛処理方法と注意点
カミソリ
・力を入れすぎると肌に負担になるので気をつける。
 毛の方向にそってそる
・カミソリの刃はなるべく新しいものを使って衛生的に

電気カミソリ(シェーバー)
・皮膚表面と毛穴への刺激が大きく、毛穴に雑菌が入って毛のう炎などトラブルになりやすい

毛抜き
・皮膚表面と毛穴への刺激が大きく、毛穴に雑菌が入って毛のう炎などトラブルになりやすい
・長期間続けると毛穴が目立ち、ざらざらしてくる

ワックス
・一気にたくさん抜くので痛みが大きく、皮膚表面の角質もはがしてしまうので乾燥しやすい
・除毛後の皮膚が紫外線に敏感になりやすい

剃毛・脱色剤
・タンパク質などを溶かす薬剤を使うため、肌ダメージは大きく、かぶれがおきやすい


◎ 自宅で安全にむだ毛を処理するには
①カミソリを使う
・手動より電動がお勧め
・手動なら3~4枚刃、ヘッド部分が小さめのものを
②処理する皮膚を清潔に
・感染などを防ぐため、むだ毛の周囲を優しく洗い、清潔に
③そる
・そる部分にシェービングローションなどを塗り、刃の滑りをよくし、肌へのダメージを軽減
・毛の流れにそって優しく
(ワキは腕の下の方は手先方向に、体側は下方向に生えているので注意)
④保湿・紫外線対策
・ローションや乳幼児用のワセリンなどで保湿
・スネや腕などは日焼け止めを塗る
⑤カミソリのケア
・刃は使うたびに消毒用アルコールで拭き、十分乾燥させて
・2~4週間に1回は新しい刃に替える