男の「ちょい漏れ」

男の「ちょい漏れ」、対策製品出そろう セルフケアも有効

トイレで尿を出し切ったはずが、後で漏れてきた・・・。
そんな中高年男性の悩みに応えるケア製品の開発に衛生用品メーカーが力を注ぎ、大手の製品がほぼ出そろった。
使いやすさを追求して各メーカーが工夫を競っている。
命に関わらないことが多いが、「症状によっては重大な病気も」と医師は受診を勧めている。

初めての失敗にショック
トイレを済ませた後、ズボンが濡れることがある。
用を足した後にすぐに便器を離れないようにすれば解決できる。
 
これは「排尿後尿滴下」といい、50代以上の男性では3人に1人が経験しているともいわれる。
男性は女性に比べて尿道が長く、前立腺肥大などの影響で尿道にとどまった尿の一部が衣服を整えた後に漏れ出すことがある。
意思に反する失敗と感じ、自尊心が傷つく人もいる。
 
某会社員男性(44)は1年ほど前から、突然襲ってくる激しい尿意を我慢できなくなった。
仕事で客先へ出向く前などは何度でもトイレに行く。
それでも過去に1度、トイレに間に合わずに漏らしてしまい、グレーのズボンに出来た大きな染みをコートで必死に隠した。
事情を知る同僚に「女性用パッドを使う人もいるらしい」と耳打ちされたこともある。
「試してみたいが、店頭で自分で買うのは恥ずかしい」
 
尿失禁は長らく女性の悩みととらえられてきた。
40代以上の3人に1人、出産した女性の4割が「尿漏れ経験あり」といった実態が世間に知られるようになったのは約10年前。
その後、くしゃみした折に腹に力が入って漏れる「腹圧性尿失禁」、突然の尿意が我慢できない「切迫性尿失禁」などへの理解が深まった。
衛生用品メーカーは女性向け尿取りパッドの開発を競い、市場は伸び続けている。

■市場規模は3倍
一方、男性専用品が出てきたのは最近だが、主要メーカー5社の製品が出そろった。
各社は「ちょい漏れ対策」などと呼んで宣伝に力を入れる。
 
生理用品から発展した女性用をベースにしているが、男性は下着の中で尿の出口が動いてしまうのが特徴だ。製品の形は様々で、メーカーの試行錯誤の跡がうかがえる。
 
ユニ・チャームは尿の吸収量別に20ccから200ccまで4種類をそろえ、現時点でシェア1位。
幅広い扇形を前に装着するのは、陰茎の動きをカバーするためだ。
同社の調査では、尿漏れに悩む男性は女性用で代用したり、ちり紙・ハンカチで対処したりしていた。
昨春の発売後1年で市場規模は3倍に拡大。「いずれ男子トイレにも汚物入れが置かれるのが当たり前になってほしい」と期待する。
 
花王は吸収量50ccで長さが36センチあり、「1枚で夜までOK」と安心を強調する。
男性がより買いやすいようにとパッケージのデザインを改良し、機能の情報も加えた。
男性の4割は通販で購入している。
店頭で買う人の7割は女性で、家族などが代理で買っているとみられるという。
 
白十字は、生理用品のようなシート型でなく、男性器を包み込む袋形状で安心感をアピールする。

尿漏れ、病気の場合も
男性の軽度尿失禁はセルフケアで症状を改善できるケースがある。
陰のうの付け根から尿道の先へ圧迫しながら絞り出す『ミルキング』という動作には、尿道にとどまった尿を外へ出し切る効果がある。
 
さらに、排尿障害に悩む女性と同じように「骨盤底筋トレーニング」が効果的だ。
男性の場合、排尿を途中で止めるイメージで5秒間、筋肉を締める。
今度は5秒間かけてゆっくりと緩める動作を繰り返す。
これで1回と数え、8~10回1セットで朝昼晩など、それぞれ2、3セットずつ続ける。
3カ月ほどで効果を実感できる人が多いという。
 
一方、尿漏れに深刻な病気が潜んでいる場合がある。
 
尿漏れの一種である「溢流(いつりゅう)性尿失禁」は尿を出せずに膀胱に残る大量の尿があふれ出す現象で、放っておくと命に関わることがある。
膀胱内の尿が細菌に感染し、それが尿管から腎臓へ逆流すると腎盂腎炎を起こし、腎不全の原因にもなる。
目に見える血尿は、膀胱がんや結石が原因であることが少なくない。
 
尿が赤い場合や白濁していた場合は泌尿器科を受診したい。
尿漏れの原因はさまざまで、肥満や前立腺がん手術が関係していることもある。

 
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参考
朝日新聞・朝刊 2015.10.30


 
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                      こんなに漏れては大変です。


 
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                      長野県・富士見高原 花の里  2016.8.12撮影