尿もれには、膀胱トレーニング・骨盤底筋体操

尿もれには、膀胱トレーニング・骨盤底筋体操

自分の意思に関係なく尿が出てしまう尿もれ。

男女なく発症し、加齢に伴って悩まされる人は多くなる。

冬になって寒さで膀胱が刺激されると起こりがちになるだけに、秋のうちから原因を押さえて予防したい。

中高年世代に多い尿もれにはいくつかの種類があり、男女によってもその原因が異なってくる。

女性にもっとも多いのはくしゃみや咳、歩行などで腹部に力が入ると尿がもれてしまう「腹圧性尿失禁」だ。

 

主な要因は骨盤内の膀胱・子宮・直腸などの臓器を下側から支える「骨盤底筋」という筋肉が加齢などの理由で弱くなること。

このため尿を止めておく尿道口が緩んでしまうことで起きる。

 

加齢のほか、肥満や妊娠・出産も骨盤底筋へのダメージとなり、20代で尿失禁に悩まされる人も少なくない。

緩んだ筋肉を鍛える「骨盤底筋体操」で改善できる。

あお向けに寝て両膝を立て、肛門を締める。

そのまま尿道まわりの筋肉を締めたり緩めたりを繰り返す。

 

ただし簡単な体操にもかかわらず、なかなか正しく継続できていない場合もある。

改善が見られないようなら、泌尿器科などクリニックを受診した上で、看護師や理学療法士、あるいは骨盤底筋体操の知識があるスポーツトレーナーなどの指導のもとに行うと、より効果を見込める。

 

男女関係なく起こるのが、急な尿意を催してトイレまでガマンできずに漏らしてしまう切迫性尿失禁。

その多くに膀胱が過敏になって尿がそれほどたまっていないのに尿意を催してしまう「過活動膀胱」という症状が見られる。

40~50代以降に多い疾病だ。

昼夜の頻尿も過活動膀胱によって引き起こされる。

 

日中に8回以上トイレに行くようなら過活動膀胱を疑ってみる。

通常は膀胱に尿がたまると脳がその信号を受けて排尿をコントロールする。詳しい原因は不明だが、制御ができず少量の尿でも膀胱が過剰に反応するものだ。

 

加齢のほか、神経的な要因、糖尿病などの患者にもよく見られる。

治療は薬物療法が中心となる。

近年、薬の選択肢も増えており、医師と相談して自分に合った治療を進めるとよい。

また、生活習慣を見直すことも有効。

水やカフェインの取りすぎに注意する。

意識的に排尿間隔を空けて、膀胱の容量を大きくする膀胱トレーニングを併用すると効果的だ。

 

男性に固有に起こるのが、排尿後に尿道の途中に残っていた尿が少量もれる「排尿後尿滴下」。

いわゆる「おしっこのキレが悪い」状態だ。

膀胱の直下にある前立腺と長く曲がりくねった尿道が男性特有の尿もれの原因になる。

尿道周囲の筋力の低下で発生するほか、50代で増加する前立腺肥大によって膀胱や尿道が圧迫されて生じる可能性もある。

症状が続くようなら、前立腺の検査を受けた方がいい。

 

尿失禁は基本的に生命に関わる病気ではないが、放置したままだと衣類を汚すなどQOL(生活の質)が低下していく。

その結果、うつ病などメンタルを病むことにもなりかねない。

 

尿失禁が原因で外出やスポーツなどのレジャーをあきらめてしまうのはもったいない。

症状を自覚したら早めに泌尿器科を受診して、アクティブな人生を取り戻してほしい」と呼び

参考・引用一部改変

日経新聞・朝刊 2019.10.26

 

 <関連サイト>

尿もれのパターン

https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/735

 

男性の尿漏れ、40・50代の3割が経験 専用品で備え

https://style.nikkei.com/article/DGXKZO42923620W9A320C1KNTP00?channel=DF14092016092

・男性の「チョイ漏れ」のひそかな悩みを解消するため、最近は使いやすさを考慮したケア商品が増えている。

 

・男性の軽失禁は出し切れなかった尿が尿道内にとどまり、残った尿が漏れ出す「排尿後滴下」という現象だ。

女性の尿漏れは重い物を持った時やくしゃみをした時に出るが、男性はトイレを済ませてズボンを整えた後が多い。

尿道の周りの筋肉が加齢で衰えることによって尿を出し切れず、健常な男性にも起きる。

下着や肌をぬらし不快感を伴う。

 

・深刻な症状ではないので病院には行かないが、他人に相談できず悩んでいる人は多い。

 

・あるメーカーの調査によると、「軽い尿漏れがある」と回答した男性は40代と50代で3割、60代になると4割近くにのぼった。

 

・量は小さじ1杯(5cc)未満の人が8割以上を占める。

ただ、少ない量でもズボンの色によってはではしみがはっきり目立つ。

 

・「ズボンにしみない、目立たない」をキャッチフレーズに販売している「ライフリーさわやかパッド男性用」(ユニ・チャーム)というものがある。

下着の内側に貼り付けて使う。

2014年から販売を開始し、16年にチョイ漏れ用として吸収量が10ccと少ないタイプを追加した。

薄型でポケットに入れて持ち運べるので便利だ。

 

・メーカー各社によると、男性の軽失禁のケア商品の販売は伸びているが、女性用と比べると市場規模はかなり小さい。

「男性の尿もれ専用の商品があることはなんとなく知っているが、使い方の具体的なイメージを持たない人が多い」(ユニ・チャーム)という。

 

花王の調査では、しみや臭いを周囲に気づかれる不安を感じている人が7割を占めるが、対処している人は1割程度にすぎなかった。

一般的な対処法としては、ウエットティッシュでふき取ったり、消臭スプレーを使ったりすることが多いようだ。

 

・ケア用品には抵抗があるという男性向けに、花王は普通の下着のように見える紙の吸水パンツ「リリーフまるで下着1回分ローライズ」を販売している。ズボンをはいて腰からはみ出さない薄型の商品だ。

ある会社員(63)は「最初は紙のパンツに抵抗感があったが、慣れれば普段通りに活動できるし、ズボンのしみを心配することもなくなった」と話す。

 

・消臭効果や通気性、使い心地などの点でメーカーは製品の改良を重ねている。

ドラッグストアやスーパーで販売しているが、「恥ずかしくて店で買いにくい」という男性はネット通販で購入して試してみてはいかがだろう。

 

排尿の筋肉鍛え改善も

・ケア用品のほかに、ズボンや下着を汚さない排尿の方法がある。

「排尿後のしぼり出し」だ。

出し終えたと思っても、尿が残っていると意識して、尿道の根元から先端に向けて指で3回くらいやや力を込めてゆっくりと押し出すのがコツ。

 

・もう一つの尿漏れ改善方法が、普段はしまっており排尿する時に緩む骨盤の底にある筋肉を鍛える体操だ。

おならを我慢するつもりで肛門に力を入れたり抜いたりを繰り返す。

電車の中や家でテレビを見ながらなどいつでもどこでもできる。

 

・尿失禁の量や頻度が増えてきたら、病気の可能性もあるので年齢のせいと自己判断せず、泌尿器科など専門医に早めに相談するのも重要だ。