男性の尿漏れ

男性の尿漏れ、悩まず対策 50代6人に1人が経験

急に尿意を催してトイレまでがまんしきれなかったり、トイレの後に尿が漏れて着衣をぬらしたりする尿漏れ。

男性の尿漏れは女性ほど話題になりにくいが、50代の男性の6人に1人は経験しているとの調査もある。

男性向けの軽い尿漏れ対策用品も相次ぎ登場している。

 

衛生用品大手のユニ・チャームが20~70代の約2万2000人の男性を対象に実施した調査によると、50代男性の18%が月に1回以上の軽い尿漏れを経験していた。

尿漏れが始まったきっかけは「トイレに行きたいが間に合わずに」「気がついたら下着やズボンにしみていた」などで多くの男性が尿漏れに悩んでいる様子がうかがえる。

 

■ 男女で違い大きく

尿に関する問題は年齢とともにいろいろと出てくるが、男女の違いが大きい。中高年になると、膀胱の尿をためる機能が低下して起こる「過活動膀胱」になる恐れが増すのは男女とも同じ。

この病気は膀胱内に尿がそれほどたまっていないのに敏感になり、急に尿意をもよおす。

これに加え、男性では多くの場合、50歳くらいから前立腺が肥大して尿道を圧迫し、膀胱に尿がたまる刺激に敏感になることが尿漏れや頻尿につながる。前立腺肥大の50~75%が過活動膀胱と重なるとされ、関係が深いと考えられている。

 

一方、女性は年齢や出産の影響で、尿道を締める「骨盤底筋」が弱くなり、尿が出るのを抑えられなくなる例が多い。

お尻の穴を締めたり緩めたりする「骨盤底筋体操」が尿漏れ対策として一般に勧められている。

 

最近は男性でも、前立腺がんの手術を受けた後に、尿漏れや頻尿の症状を訴える例が増えている。

この場合は、女性と同様に尿道を締める力が弱くなるために起きるので、骨盤底筋体操で筋肉を鍛えることが尿漏れ予防に有効だ。

 

軽い尿漏れの中には、トイレに行った後に尿道に残った尿が漏れ出てくる「排尿後滴下」がある。

今のところ原因ははっきりわかっていない。

楽に排尿できるようにゆったりしたズボンを選ぶと漏れ対策になる。

また、排尿後に尿道の根本から指で残った尿を搾り出すように心がければ、尿道に尿が残りにくくなる。

 

ただ、注意が必要な症状もある。

「尿漏れがあるのに、普段は尿が出にくい」。

そう感じた男性が医師に相談するとすぐに治療を始めるよう勧められた。

 

尿が出にくいタイプは前立腺肥大の影響で、症状が進んで排尿ができなくなると命に関わる危険性がある。

切迫感だけなのか、切迫感に加えて尿が出にくいのかをはっきりさせる必要がある。

 

■ 水分取りすぎ注意

生活習慣を変えるだけで尿漏れや頻尿が改善することもある。

多いのは水分の取り過ぎだ。

夏場は熱中症対策で水分をこまめに取ることが勧められるが、尿漏れなどがある場合は、水分を取り過ぎていないかのチェックも必要。

適度な1日の水分量は体重の2%程度といわれ、体重が70キログラムの人なら1.4リットル程度だ。

利尿作用が高いカフェインを多く含む茶やコーヒーの飲み過ぎにも要注意だ。

衛生用品各社も男性の尿漏れ用の小型パッドを発売している。

パッドは必要な部分だけを覆うようにしてあり、厚さも約3ミリメートル。着けても目立たない。

尿の吸収量は一番少ないタイプで15~20ミリリットルで、軽い尿漏れなら十分に対応できるという。

例えば、ユニ・チャームは野球の捕手が着けるプロテクターの形を参考にした。

従来のパンツ型やおむつ型のような介護のイメージの強い製品とは異なる。

 

しかし使い方でとまどう例も多い。

「パンツの中でパッドが動いてしまう」

「テープをはがしたが、体のどこにつけたらいいのか」。

ユニ・チャームには男性向け小型パッドを発売してから2カ月間に約150件もの問い合わせがあった。

女性の生理用品と同じようにブリーフなどの下着に貼り付けて固定する仕組みだが、男性にはなじみがなくわかりにくいためだ。

パンツ型と同様、ズボンのファスナーを下ろしただけでは排尿できないので、不便だと感じる利用者もいる。

 

軽くても尿漏れや頻尿は気になる。

尿漏れが起きたら早いうちから対策を講じることが、日常の暮らしの質を保つのに役立ちそうだ。

 

参考・引用」一部改変

日経新聞 2014.6.29

 

<関連サイト>

過活動膀胱のチェックシート

https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/694