尿もれ

体操で半数以上が改善

骨盤底筋を鍛えて尿もれを防ぐ
40歳以上の女性の3人に1人が尿もれを経験する。
その原因の一つが「骨盤底筋」のゆるみ。
加齢や出産、肥満などで弱ってしまいがちでだが、症状の改善や予防に効果のある体操がある。
  
骨盤底筋は、文字どおり骨盤の底にあり、筋肉や靱帯などでできている。
骨盤内の膀胱や子宮などをハンモックのように下から支えている。
ゆるむと、膀胱や尿道がぐらぐらして不安定になり、おなかに力がかかると膀胱の出口や尿道が締まらなくなって、もれてしまう。
 
この筋肉を鍛えるのが「骨盤底筋体操」。
日本排尿機能学会が今秋(2013年)作った診療指針で、体操が、尿もれの半分を占める腹圧性の尿もれの第一選択の治療法に位置づけられた。
 
どんな体操なのか。
基本は、肛門や膣を引き上げるような感覚で骨盤底筋を締め、そしてゆるめるを繰り返す。
シンプルな動作だが、おなかに力を入れる場合も多く、正しく動かすのが難しい。

お風呂で肛門周辺をさわると、正しく動いているか分かる。
服の上からなら、尾骨の先端を指でおさえて締め、尾骨が内側にずれれば、正しく締めている証拠だ。
 
次に、
鍛え方の例。素早く締めてゆるめるを何回連続できるか、1回に何秒間長く締め続けられるかを試してみる。
 
連続20回、1回あたり10秒ほど続いた人なら、「連続20回締めた後、10秒間締め続ける」を1セットに、1日5回を目安に行う。
自分の体を知り基本の動きを身につければ、横になったり座ったり、いつでもどこでも鍛えられる。
 
体操の効果に関しては2007年に、東京都健康長寿医療センターの研究者が報告している。
腹圧性の尿もれが月1回以上ある、
都内の70歳以上の女性70人を対象に、骨盤底筋体操を中心に様々な体操をするグループと、しないグループに分けて調べてみた。
 
1回1時間の体操を週2回3カ月続けた方は、尿もれしなくなった人が55%に達したが、体操をしなかった方は9%だった。
外出を控える人が減り、体操によって歩く速度が増すなど体力も向上した。
 
ただ、重度の尿もれやほかの病気がかかわる場合には、効果がなかった。
体操には限界もある。
効果がなく生活に支障があれば、恥ずかしがらず専門医に受診したい。
 
男性には腹圧性の尿もれはほとんどない。
だが、急に尿意を感じて我慢できずもれる切迫性や頻尿の場合、男性も骨盤底筋体操で尿道を締める力をつけ、もれを防ぐことが期待できる。
尿意を我慢して膀胱にためるようにする膀胱訓練と併せて行うといい。

<関連サイト>
 日本コンチネンス協会のホームページ
http://www.jcas.or.jp/
医療機関の紹介や電話相談の案内がある)
ユニ・チャームの「尿もれケアナビ」
http://www.nyoucare.jp/
(診察・治療の際のアドバイスがある)
アステラス製薬「排尿トラブル改善.com」
http://www.hainyou.com/
(男性向け情報がある)


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出典
朝日新聞・朝刊 2013.10.27(一部改変)