女性の頻尿

女性の頻尿 年齢と共に増加、治療も可能

トイレが近くて困るという話を聞く。
国民生活基礎調査(2013年)では、頻尿の症状がある人は約350万人。
うち半数近くが女性で、年齢とともに増える。中には女性に多い頻尿もある。

女性の頻尿の原因に、まず「細菌性膀胱炎」がある。
膀胱の内側の粘膜が細菌に感染して炎症を起こし、神経が刺激される。治療では抗菌薬を服用する。
 
次に「過活動膀胱」がある。
病気ではなく状態を示し、頻尿だけでなく、膀胱に尿が十分たまっていないのに突然、我慢できなくなる尿意切迫感があるのも特徴の一つ。
脳卒中といった脳や神経の病気の後遺症などで起きる。
 
過活動膀胱の治療では、膀胱の収縮を抑える抗コリン薬が使われるが、改善しない場合は「間質性膀胱炎」が疑われる。
尿がたまってくると膀胱や下腹部に痛みや不快感を伴うのが特徴だ。
 
間質性膀胱炎の患者は女性が多い。
膀胱炎を繰り返す場合、間質性膀胱炎の可能性もある。
膀胱炎を放置して、膀胱の粘膜を守るバリアーが弱くなることも原因として考えられる。
 
間質性膀胱炎の再発予防や症状軽減のためには、粘膜への刺激が強い尿を作らないことが大切だ。
かんきつ類やカリウムが多い果物、ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品、酢や香辛料、カフェインなどは少ない方がいい。
尿が濃くならないよう水分も十分(目安は1日1・5リットル)とる。

女性に多い「腹圧性尿失禁」では、咳やくしゃみなど、力が入ったときに尿が漏れやすい。
尿漏れを避けようと、小まめにトイレに行くようになる。
骨盤内の内臓を支える筋肉が出産時に伸びて傷んだり、加齢で筋肉が弱くなったりして、膀胱や尿道などを支えきれなくなる。
 
回数だけでなく、正常な尿の量かどうかも大切だ。
成人の場合、1日の正常な尿量は1200~1800cc。
尿量が体重(キログラム)×40ccを超えると「多尿」に該当する。
就寝中は作られる尿が日中より減る。
多尿のうち夜間の尿が1日の30%を超える「夜間多尿」の場合、高血圧や心不全睡眠時無呼吸症候群などが隠れていることが多いという。
 
受診前には「排尿日誌」をつけるのがお勧めだ。
計量カップで尿を毎回量り、摂取した水分量も記入する。
2日間以上、夜中の分も忘れずにつけるのが望ましい。

<私的コメント>
実施はなかなか困難です。
具体的な採取方法も知りたいところです。

頻尿は治療が可能な症状です。
老化だとあきらめず、かかりつけ医や泌尿器科医を受診したい。

女性の頻尿~その原因は?
① 朝起きて夜寝るまでに、排尿しに8回以上トイレに行き、困っている
② 夜寝ていても、排尿したくなってトイレに行くので困っている
③ 尿を出すとき、痛みがある
④ 突然、我慢できないような尿意をもよおしてトイレに行く
⑤ 尿がたまってくると膀胱が刺すように痛い
⑥ 尿を出すと膀胱の痛みが軽くなる
⑦ 咳やくしゃみ、重い物を持ちあげようとしたとき、尿がもれる

回数が多くて①②のように困っていれば、頻尿の疑いがあります。
頻尿の原因は様々ですが③は細菌性の膀胱炎に多い症状です。
①②のほか「過活動膀胱」の代表的な特徴が④です。
⑤⑥も加わると「同質性膀胱炎」の可能性があります。
⑦は「腹圧性失禁」の症状です。出産時に難産だったり、更年期以降に骨盤底筋が弱ったりすると、症状が出ることがあります。まずは、かかりつけ医に相談し、症状が改善しないときは、女性の泌尿器疾患に詳しい専門医を紹介してもらいましょう
 
<関連サイト>
日本間質性膀胱炎研究会
http://sicj.umin.jp

「快適な排尿をめざす全国ネットの会」のサイト
http://www.hainyo-net.org

「女性腹圧性尿失禁」
(東京女子医大東医療センター骨盤底機能再建診療部では、関連サイトで排尿日誌の具体例を紹介)

出典
朝日新聞・夕刊 2016.2.22