植物性たんぱくに脚光

植物性たんぱくに脚光 三井物産、エンドウ豆で食肉風

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22865480Q7A031C1MM0000/
食品会社や大手商社などが、植物性のたんぱく質を使った食品の開発・販売を加速させる。
三井物産はエンドウ豆で作ったハンバーガー用の「植物肉」を日本に2018年春をメドに投入する。
味の素はイスラエルベンチャーと組み、栄養豊富な水草を使った即席スープなどの家庭用食品を19年にも発売する。
消費者の健康志向に対応するほか、新興国の人口増による将来の食肉不足に備える狙いもある。
 
三井物産は昨秋に出資した米食品会社サベージ・リバーが開発した「植物肉」を日本市場に投入する。
エンドウ豆から採った植物性たんぱく質を原料に使っており、まずはハンバーガー用のパテを18年春ごろに発売する計画だ。
植物性たんぱく質を肉の分子構造に近づけることで風味や食感などを再現した。
健康意識が高い消費者のニーズがあると見込んでおり、高級ハンバーガーを手掛けるレストランなどに販売する。
 
サベージ社は11年設立の食品ベンチャーで、植物性たんぱく質による鶏肉や牛肉の代替製品を手掛けている。
マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏の財団や米精肉最大手タイソン・フーズも出資している。
米国では高級スーパーのホールフーズ・マーケットが16年から販売を始め、取扱店を広げている。
 
味の素はイスラエルベンチャー企業ヒノマン社と共同で、水草が原料の高たんぱく植物素材「マンカイ」を使った家庭用食品を開発する。
マンカイはビタミンや食物繊維などを含み、既存のたんぱく質素材に比べて体内の消化・吸収効率に優れているという。
 
粉末状のためパスタやデザート、スナック菓子など様々な形態の食品に活用できる。
食が細くなり栄養を取るのが難しい高齢者向けサプリメントなどの展開も検討している。
 
日清食品も、脱脂大豆を食肉風に加工した「ソイ・ミート」の開発を進めている。
食感をより食肉に近づけるためのたんぱく結着技術や、大豆臭などの植物由来の風味を消す技術などを研究している。
20年までに即席麺の具材などへの実用化にメドをつける考えだ。
 
大塚製薬は今夏、植物由来成分を使ったチーズやヨーグルトの代替製品などを手掛けるカナダの食品会社デイヤフーズを買収すると発表。
大塚の販路を活用して日本でも販売する考えだ。
 
各社が植物性たんぱく質に注目するのは将来の食糧不足に備える狙いもある。
新興国の経済成長や世界人口の増加を背景に食肉などたんぱく質需要の拡大が見込まれ食肉価格の高騰も危惧されている。
代替品としての植物性たんぱく質の需要は今後、高まると判断。
早期に事業化に着手し将来の市場の広がりに対応する。
 
米国ではベジタリアン菜食主義者)向けの「代替肉」という位置づけで「植物肉」の市場が拡大してきた。
さらに健康志向の強い消費者が加わり需要が拡大している。
世界の食品大手も植物性たんぱく質を今後の有望市場とみる。最大手のネスレ(スイス)は、植物由来の人工肉などを手がける米スイートアースを買収。スイートアースは、植物性たんぱく質を原料とした肉の代替食品「ベネボレント・ベーコン」などを製造・販売している。

植物性たんぱく質 
植物に含まれるたんぱく質。大豆に含まれる「大豆たんぱく」や小麦に含まれる「小麦たんぱく」が主流だが、近年は水草などを原料とする植物性たんぱく質などにも注目が集まっている。
植物性たんぱく質は、低脂肪・低カロリーの観点からダイエット用途などで注目されてきた。
近年では高齢者の低栄養問題や消費者の健康意識の高まりを背景に、即席スープなど様々な加工食品に使われるなど用途が広がっている。

参考・引用
日経新聞・夕刊 2017.10.30