睡眠導入剤や抗不安薬で薬物依存に

睡眠導入剤抗不安薬で薬物依存に・・・依存症になりやすい人とは?

働く世代は、ストレスや不眠、ちょっとした腰痛など、日々さまざまな悩みを抱えている。
薬で良くなるなら、と睡眠導入剤抗不安薬を服用している人も少なくない。
だが、それが薬物依存症につながるのだとしたら──。

薬物依存症とは、自分の意思で薬の使用を調整できなくなってしまう障害だ。
依存症になりやすい人は、「我慢強い人」「(友人や家族、趣味など)依存するものが少ない人」「人への不信感がある人」だ。

デパスを服用して(仕事の)パフォーマンスを保ってきたが、効きが悪くなってきた。眠気やふらつきもある」

こう訴えて某病院の薬物依存症外来を訪れてきたのは、仕事ができると周りから高評価を得ている、あるビジネスマン。

デパスとは、不眠や不安、肩こり、腰痛などの痛みの症状を和らげる薬。
精神科のほか、内科や心療内科、整形外科、脳外科などで処方されてきた。

副作用も少なく、患者にとって使いやすい薬だが、依存症になりやすいと問題になっていた。
精神疾患と診断されなくても、例えば腰痛や手術前の不安などでも処方されてきた。

ところが、この患者にとっての「使いやすさ」が薬物依存につながっている。

不安などの苦しみから逃れるために使い始めるが、不快感がなく、作用時間も短いため、依存になりやすい。

2014年に行われたある調査では、精神障害を起こす原因薬物として、覚醒剤と危険ドラッグに次ぐ3位が、睡眠薬抗不安薬といった医師から処方される薬だった。
中でも、もっとも乱用が多かったのがデパスなどに含まれるエチゾラムという成分だ。
デパス以外にも複数の薬に含まれ重複処方になりやすい。

エチゾラムは神経活動を抑えるが、飲み続けていると抑えた状態が普通になり、薬を減らすと今度は興奮してしまう。
そのため、徐々に飲む量が増えて依存症になってしまう。

そこで厚生労働省は2016年10月からエチゾラムなどを向精神薬に指定し、「投与期間の上限は30日」などとして医師への注意喚起を強めた。
薬を飲むだけで不安が取れるからと、デパスを求める患者は少なくない。だが、睡眠薬抗不安薬などは、その場しのぎをして問題を先送りしているに過ぎない。

そもそも不眠や不安の背景には必ず、仕事や人間関係の悩み、経済的な問題などがある。
薬はそれらの問題を解決してはくれない。
薬は少し楽になっている間に、根本の問題を自分で解決するためのものだ。

私的コメント
解決できないからこそ「悩み」ともいえます。

依存性が少ない他の薬に徐々に変えていく治療なども必要となる。
薬はあくまでも補助的なものだと心得ておこう。

参考・引用
AERA 2016.11.7