大人の鼻血 軽視は禁物

大人の鼻血 軽視は禁物 まずは正しい姿勢で止血

高血圧で止まりにくく / 病の可能性も
大人になって、突然鼻血が出るとドキッとする。
出血が止まりにくかったり、頻繁に繰り返したりするなら、注意が必要だ。
大人の鼻血につながる病気を知って、気になる人は早めに耳鼻咽喉科を受診しよう。

小さい子供は転んだり、人とぶつかったりするだけでも鼻血を出しやすい。
子供特有の症状と考えられがちだが、実は鼻血は中高年以降にも多く見られる。

ある医療機関が鼻血で来院する人を調べたところ、10代以下と60代以上にピークがあった。
子供は季節にあまり関係なく来院するが、大人の場合は乾燥した寒暖差のある季節に増えるのが特徴だ。
 
鼻血の9割は、鼻の穴から1センチメートルほど奥にあるキーゼルバッハ部位で起こる。
鼻の皮膚と粘膜の境目にあり、細く小さな血管が密に集まっているので、ちょっとした傷でも出血する。
 
子供の鼻血は鼻炎や鼻をほじるクセなど、鼻の粘膜に原因があるので、鼻血が出やすい半面、指で圧迫することでほとんどの場合は止まる。
 
大人の鼻血は高血圧や糖尿病、腎臓病などの病気や、飲んでいる薬の影響など、全身の状態がからんでいることが多い。

子供の鼻血と比べると、大人の鼻血は止まりにくく、出血量も多くなるので注意が必要だ。

中高年の男性の場合、動脈硬化が進んで血管がもろくなっており、血圧も高い。
鼻腔の奥の太い血管から出血するケースも多い。
鼻血が出たら、まずは正しい対処法で、止血できるかどうかを見極めよう。
 
椅子に腰掛けて、軽く下を向いた姿勢を保つ。
小鼻と呼ばれる、鼻先の左右のふくらみを親指と人さし指でつまみ、5~10分間ほど保持する。
ティッシュペーパーは挿入しても、しなくてもよい。
ティッシュを詰めた場合、頻繁な交換は粘膜を傷つけるので避けよう。
この対処法で血が止まらない場合は、注意が必要な鼻血といえる。
 
高齢者は止まらない鼻血が原因で貧血を招くことがあるので、早めの受診が必要となる。
脳梗塞心筋梗塞の治療で血液を固まりにくくする抗凝固薬(ワルファリンなど)、抗血小板薬(バイアスピリンなど)を飲んでいる場合も、鼻血は止まりにくくなる。
 
耳鼻咽喉科では、血管を収縮させる薬をしみ込ませたガーゼなどを詰めたり、傷ついた粘膜を高周波で焼いたりするなど、専門的な方法で鼻血に対処する。
鼻腔の奥の太い動脈から出血している場合は、鼻の穴から内視鏡を挿入し動脈をレーザーで焼く、クリップで止める、といった治療法もある。
 
大人になって、頻繁に鼻血を繰り返すという場合も要注意だ。
鼻血の背後に、重要な病気が隠れているケースがある。
 
例えば、オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)は血管の形成に異常が起こる病気で、40歳以上の患者の9割が鼻血を繰り返すといわれている。
放っておくと肺の血管などに血栓ができやすくなり、脳梗塞などの原因になる。
鼻血をきっかけに、精密検査などを勧められる例は多い。
 
鼻血が副鼻腔腫瘍などのがんの早期発見につながることもある。
過度な心配は不要だが、繰り返し鼻血が出る場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診したい。

<まとめ> 大人と子供の鼻血はこんな違いがある
子供
・ほとんどが粘膜の薄いキーゼルバッハ部位で起こる
・比較的すぐに止まる 

大人(特に高齢者)
・鼻腔の奥の太い血管から出血する例も多い
・大量に出血することも

こんな人は要注意
・血圧の高い人
・血液を固まりくくする薬を飲んでいる人

鼻血が出たらこう対処
・椅子に座り、やや下を向く
・小鼻を軽く詰まみ、10分間安静   
▼ 10分たっても止まらない
▼ 頻繁に鼻血を繰り返す

耳鼻咽眼科を受診
・専門的な止血法で治療
・がんなど鼻血が症状の病気が見付かることも
  
これはNG
✖️ 顔を上に向ける、あおむけ
✖️ 首筋をトントンたたく
✖️ 詰めたティッシュペーパーを煩雑に交換する

参考・引用
日経新聞・2018.5.12



<関連サイト>
「大人の鼻血」は病気の兆候?知っておきたい原因とシグナル
http://www.mag2.com/p/news/213233

大人が鼻血を出す原因は?
http://www.skincare-univ.com/article/020008/

大人の鼻血は意外と重症な状態かも
http://www.handbell.org/大人の鼻血は意外と重症な状態かも/

[ PDF ] 大人の鼻血の対処法
http://fukuoka-jibi.com/docs/pdf/health/ad_hanadi.pdf