インフルエンザ、早めの備えを

インフルエンザ、早めの備えを 予防接種で重症化予防

秋が深まり、インフルエンザが流行する季節が近づいてきた。
高齢者や病気を持つ人がかかると、重症化する恐れもある。
予防接種を済ませるなどし、日ごろからウイルスをもらったり広げたりしないような対策をとることで、リスクを減らすことができる。

予防接種でリスク減
インフルエンザは例年、11月下旬ごろから流行が始まり、1~2月にピークを迎える。
今季もインフルの感染者は報告され、9月以降に各地の小学校などで学級閉鎖が出始めている。
 
インフルは、せきやくしゃみのしぶきに含まれるウイルスで感染する。
38度以上の熱、せきやのどの痛み、全身のだるさなどが主な症状だ。
 
インフルは「持病の悪化や肺炎を引き起こしたり、飲食をする体力を奪われて脱水になったりすることもある。
甘く見てはいけない。
 
今からできる対策が予防接種だ。
感染を完全に防ぐわけではないが、かかった後に発病するリスクや、重症化の予防が期待できる。
厚生労働省によると、13歳以上は原則、1シーズンに1回の接種で十分という。
効果が続くのは約5ヵ月とされ、毎年接種が必要だ。
 
ただ、流行期が近づくと希望者による混雑も予想され、大勢の人がいる場所に行くことでウイルスに感染する可能性もある。
かかりつけ医に電話するなどし、予約が可能ならばしてから行くほうがよい。
 
流行期には「かからない」「広げない」の両面の対策が必要になる。
感染防止には、せっけんを使いしっかり手を洗うことが有効だ。
外出の際は人混みを避け、家族の中に患者が出たら別室で療養させ、感染の機会を極力減らそう。
 
インフルにかかったら、せきやくしゃみが出る時にはマスクをつけるか、ハンカチや服の袖で口を押さえよう。
手を使うと、手を媒介にウイルスが広がりやすいのでよくない。
 
インフルは自然に治ることが多いが、治療にはウイルスの増殖を防ぐ抗インフル薬が使われる。
高い熱が出る期間の短縮や重症化予防になるとして、乳幼児らに使うことが推奨されている。
異常行動が問題になったタミフルは、因果関係が明確でないとして、今季から10代にも使えるようになった。
3月からは、1回のむだけでよいゾフルーザも販売されている。

高齢者 肺炎球菌ワクチンも
国立感染症研究所(感染研)の推計では、昨季のインフルエンザ患者は約2249万人。
<私的コメント>
どのようにして統計(推計)は算出されるのでしょうか。
たとえば当院での患者はどのようにして数字として上げられるのかと考えると実に不思議です。
実態よりも、この数値が多いのか少ないのかも不明です。

重症化すると亡くなることもあり、高齢者や呼吸器に病気がある人は、特に注意が必要だ。
 
感染症法で届け出が求められる医療機関への入院は、感染研の推計によると5~59歳は患者1万人あたり2.1人だが、60歳以上は36人と約17倍多かった。
60歳以上は抵抗力が低いうえ、,持病を持つことが多いためと考えられる。
 
感染症にかかると、体内で炎症反応が起きる。
その結果、持病が悪化したり、炎症の際にできた血栓脳卒中心筋梗塞になったりしやすくなる。
インフルの場合、炎症を起こした気道粘膜に「肺炎球菌」などの別の病原菌が感染し、肺炎や敗血症になる人もいる。
 
予防接種は、こうした二次感染への対策としても有効だ。
日本内科学会の「成人予防接種のガイダンス」には、インフルと肺炎球菌の両方のワクチンを接種した高齢者は、インフルだけを受けた人に比べ、肺炎の発症や死亡が抑えられたデータもある。
 
ワクチン接種の費用には公的助成もある。
インフルは65歳以上に毎年、肺炎球菌は今年度まで、65歳、70歳、75歳と5歳刻みで100歳まで、年度内になる人が対象。心臓や腎臓などに
障害がある60~64歳も助成対象になる。

二つのワクチンは同時に接種できる。
高齢者は両方の接種が望ましい。

予防
・流行前にワクチン接種
・手洗い、アルコール消毒
・栄養と睡眠

かかった時の注意点
・せきが出る時はマスク
・1時間に1回程度、部屋を換気

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2018.10.24