果物アレルギー

花粉症の子に多発? 食べ慣れない果物でアレルギー

東京都大田区の区立小学校で、給食後の児童が次々と体調不良を訴え、病院に運ばれた。
かゆみや発疹などがあり、いずれもアレルギー症状とみられるという。
原因の可能性が指摘されているのは、意外な果物だった。

提供のビワ 関係か
「のどが痛い」「腕がかゆい」。
6月某日の午後1時半ごろ、給食を食べ終え昼休みを過ごしていた1~6年生30人が体調不良に。

学校は救急車を呼び、うち11人が病院に搬送された。
いずれも症状は軽く、その日のうちに自宅に帰ることができた。
 
区教委によると、この日はガス設備の工事で給食が作れず、児童は弁当を持参。
学校側からは牛乳と果物のビワを提供した。
牛乳は飲み慣れたもので賞味期限などにも問題はなく、児童の症状も食中毒のものではなかったため、ビワによる食物アレルギーの可能性があるという。
 
花粉症の患者は・・・
卵や牛乳などのアレルギーはよく聞くが、ビワ? 
実は花粉症の人が果物や野菜を食べると、口の中にかゆみや違和感が出ることがあることが近年の研究で知られている。
「花粉―食物アレルギー症候群」と呼ばれ、花粉症の人が反応する花粉の中のたんぱく質と似たたんぱく質が果物にも含まれるためだ。
シラカバやハンノキなどの花粉に反応する人は、リンゴやモモ、イチゴといったバラ科の果物で症状が出る恐れがあり、ビワも合まれる。
花粉症になって数年後に、果物アレルギーを発症することもある。
 
花粉症患者の増加とともに増えていると言われ、花粉症の発症が低年齢化しているのに伴い、子どもにも多く見られるという。
花粉症があって果物を食べるとがイガイガする人は、注意したい。
症状は比較的軽く、口の中だけでとどまることが多い。

大田区では、旬の食材を味わう食育の一環として、年1回程度給食にビワを出してきた。
体調不良を訴える児童が相次いだのは今回が初めてで、「そもそも家庭でビワを食べる機会が少なく、アレルギーとわからなかった子が発症したのでは」と担当者は話す。
 
農林水産省の統計によると、ビワの出荷量は直近の2017年で2950トン。
データがある1973年以降では、ピークの79年の1万4600トンの約5分の1に落ちている。
主要産地である千葉県内の農協担当者によると、市場を通さない直販や道の駅などでの販売が出荷額の8割を占め、高級品が増えているという。

「注意して食育を」
「ビワは種が大きくて食べるところが少ない」と敬遠する客もいる。果物の選択肢も増え、存在感が落ちているのは事実。
初夏においしくお勧めだが、食べ慣れていないということは十分あり得る。
 
ただ、家庭で食べられなくなっているからこそ、学校給食に出すことには大きな意義がある。
アレルギー対応に注意するのはもちろんだが、子どもが旬の食材により多く触れ、知ることは、食の力を育み、将来の豊かな食生活につながる」と話す専門家もいる。
<コメント>
たしかに「食育」という点からは、一定の「冒険」も必要かも知れませんが、果物アレルギーを侮(あなど)ってはいけません。
アレルギーの際、柔らかい口腔粘膜は浮腫(むくみ)が起きやすく咽頭喉頭浮腫が容易に起き得ます。
当院でも、桃(モモ)を食べて息苦しくなり救急車で病院に搬送されたケースを経験しています。
このように「『のど』が痛い、かゆい」といった症状は要注意で、学校側が救急処置に対応出来ない限り「君子危うきに近寄らず」です。
最低でも各教員は果物アレルギーについての知識を共有し、保健室にはエピネフリン(商品名エピペン)の注射を常備しておく必要があります。
(この注射は、本人または家庭や教職者などによる注射が認められています)
「旬の食材により多く触れ、知ること」は、食の安全が第一であるべき学校で行うものではなく、親の判断で各家庭ですることです。

参考・引用
朝日新聞・朝刊 2019.7.5

関連サイト
子どもが新規発症したアレルギーの原因食品
https://aobazuku.wordpress.com/2019/08/08/子どもが新規発症したアレルギーの原因食品/


「学校での食物アレルギー・アナフィラキシー対応」
https://www.gakkohoken.jp/special/archives/148