心房細動

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「心房細動」という言葉を聞かれたことがありますか?
ちょっと前の話になりますが、小渕元総理や長嶋元監督が脳塞栓を起こし
ました。
実は、その原因がこの「心房細動」という不整脈だったのです。
このように心臓の脈の乱れが、脳の血管がつまる原因になることがあるの
です。

不整脈が長時間続いたら要注意

心房細動。不整脈の一種で、規則正しかった脈拍が突然乱れる。
不快で不安を感じるものの、それ自体はふつう、命にかかわるものではない。
しかし・・・・・
 
「心房細動では心房に小さな血の塊(血栓)ができやすく、それが脳に行って
血管を詰まらせることがあります」と、群馬県立心臓血管センターの内藤慈人・
循環意内科部長腸の原因になるのだ。

なぜ、心房細動で血栓ができるのか?
まず血液の流れを。
心臓には4つの部屋がある。
心室から全身に送り出された血液は右心房に 帰って右室から肺に行き、
左心房に戻ってくる。
それぞれの部屋の収縮と拡張は、電気的な刺激にコントロールされて、
リズミカルに繰り返される。

若いころは規則的でも、年ともにリズムが乱れてくることがある。
それが心房細動。
「肺静脈が左心房につながるあたりで電気刺激が起きてしまう。それが引き金
になることが分かってきました」と内藤さん。

若いうちは心臓の筋肉が刺激をきちんと受け止め、悪影響を出させない。
長年、ストレスや高血圧といった負担がかかり続けると異常な電気刺激によって
心房細動が誘発され、時に持続してしまう。

すると血液がスムーズに流れなくなる。
左心房には左心耳という、ちょっとしたくぼみがあり、ここに血液が滞って
血の塊ができるという。
東京都老人医療センターの牧尚孝医師(循環器科)は「左心房と左心室
隔てる弁がうまく閉じなくなった時も、血液が少し逆流し、左心房に負担が
かかって起きやすくなります」と話す。

症状はどんな時に出るのだろうか。

ドキドキするなどの脈拍の乱れは、階段を上った時に出やすそうだが……。
牧さんによれば、「何かをしたから起きる、というのではありません。
寝ていても起きます」。

ただ、症状が出ても、しばらくして治まることがある。
一過性の心房細動だ。1~3年に1回くらいなら、「治まってしまえば、心配ない」
と牧さん。
注意が必要なのは、繰り返したり、長時間続いたりする場合だ。
すぐ医師にかかった方がいい。

治療は、薬のほか、高周波で心筋の一部を焼き、異常な刺激が起きてもそれが
伝わらないようにするアブレーションという方法がある。
先駆的に取り組んできた内藤さんは「引き金となる刺激が起きる肺静脈の付近を
焼く手法が確立され、8割方うまく対応できます」ど話した。

心房細動それ自体の治療ではなく、血栓ができないように血液が固まるのを防ぐ薬を
使う場合も少なくない。

心房細動は年をとるに連れて増え、80歳以上は5~10%とも推定される。
まだまだ増えそうだ。 

朝日新聞・朝刊 2008.3.10
版権 朝日新聞社