心臓の動悸にご用心

心臓の動悸にご用心

いつもとちょっと違うドキドキ  息切れや胸の痛み伴うと危ない
心臓がドキドキする動悸が生じたら、「心臓の病気なのでは」と不安に駆られる。
動悸は様々な原因で起きるので、いつもとちょっと違うと感じた際は医療機関を訪れることが大切だ。

動悸は心臓の鼓動がいつもと異なることを感じて不快に思う状態を指す。
「心臓が一瞬止まる」「脈が飛ぶ」ように感じることも多い。
心臓は一定のリズムで収縮と拡張を繰り返して血液を全身に送っているが、このリズムが崩れて不整脈になると起きやすい。
脈が速くなったり遅くなったり、不規則になったりするようなケースだ。

「緊張」は問題ない
動悸は不整脈がなくても起きる。
これは健康な人でも起きる。
7~8割はあまり問題がないケースだ。
 
大勢の前で話をしなくてはならないときや重要な会議、プロポーズの前などのドキドキは誰にも起きることで、特に問題はない。
階段を駆け上がったり、通常のスポーツや飲酒をしたりした際などに起きる場合も同様だ。
いずれも原因となっている事柄が終わったりなくなったりすれば症状が治まる。
 
では、どんな動悸に注意する必要があるのか。
緊張するような場面でもないのに頻繁に起きたり、息切れや胸の痛み、めまい、吐き気などを伴ったりする場合は心臓の病気が隠れている恐れがある。
 
その代表が心房細動だ。
高齢者の不整脈に多く、心房が細かくけいれんしたようになり、脈が完全に乱れて脈拍がとても速くなる場合が多い。
長く続くと血栓(血の塊)ができ、脳梗塞につながりやすい。
 
動悸とともに胸の圧迫感や息苦しさなどを感じるときは狭心症の恐れがある。
動脈硬化によって血液が流れにくくなったり、血管が詰まったりするのが原因だ。
いつもと違うと感じたら要注意。
命にかかわる可能性があるので直ちに医療機関を受診したい。
特に心房細動は必ず受診が必要となる。
 
また体がむくむといった症状が伴うときも、病院で検査を受けた方がよい。
心臓弁膜症や心筋症などが隠れている場合もあるからだ。
動悸が起きたときや治まったときの様子、何分間続いたかなどを覚えておけば、医師に相談しやすい。
 
心臓病以外の原因もある。
女性では妊娠中や更年期に動悸が起きるケースがある。
体内のホルモンバランスが崩れるのが原因とみられる。
甲状腺ホルモンがたくさん作られてしまうバセドウ病でも動悸が起きやすい。
鉄分不足などによる貧血が引き起こすこともある。
 
薬の副作用にも注意したい。
糖尿病の薬による低血糖ぜんそくなどの薬による血管拡張によって動悸になるケースもある。
パニック障害に代表される心理的な不安から起こることも多い。
こうした知識を持っていると、心臓がドキドキしたときに、何が原因か考える契機になる。
ただし自分で判断しないで、医師に診てもらうことが大切だ。

適度な運動が効果
動悸の原因を知る手掛かりは心電図が一番だが、それが難しい場合は脈拍も役立つ。
測る際は、まず全身を楽な姿勢にして手のひらを上に向ける。
次に手首の親指の付け根あたりに、もう一方の手の人さし指、中指、薬指を添えて脈をみる。
 
慣れないと難しいので、時間があるときに指を添える位置を調整して自分の脈を測りやすい場所を見つけておくとよい。
測定時のポイントは、日ごろの脈拍と比べて脈の動きが速いか遅いか、突然脈拍が飛ぶかなどだ。
家庭用の血圧計や脈拍計などを活用するのも手だ。
 
動悸は原因が様々なので予防は難しい。
ただ、日ごろから適度に運動する習慣をつけておくとよい。
運動には心肺機能を強くする効果があり、生活習慣病の予防にもつながる。
ウオーキングやジョギングなど酸素を体にたくさん取り込む持続的な運動がおすすめだ。
 
体が楽に感じる程度から少しきついと感じる程度の運動がひとつの目安となる。
心疾患や高血圧の人や高齢者は医師に相談し、無理のない運動をするよう心がけたい。

動悸が起こる原因は様々(主な例)
・運動、会議などでの緊張
・飲酒、喫煙、発熱
・鉄分不足などによる貧血
・過労、寝不足
・妊娠、更年期
・心房細動や狭心症などの心臓病
甲状腺の機能異常
起立性調節障害
・糖尿病やぜんそくなどの治療薬の副作用
・気管支などに持病がある場合
パニック障害など
 
脈を測れば、動悸の原因を知る手掛かりになる
・全身を楽な姿勢にする
・手のひらを上に
・手首の親指の付け根近くにもう一方の手の人さし指、中指
 薬指を添えて脈を測る


医療機関で検査・治療が必要な動悸を見極めるポイント
・脈拍数が1分間に140回以上、または40回以下になった
・120~140回でも動悸が強い
・脈の間隔が不規則
・脈に強弱がある


参考・引用
日経新聞・朝刊 2013.11.3