「期外収縮」健康な人にも

「心臓が急に止まってしまうのではないか」

3年前から胸苦しさに悩まされていた東京都のOさん(51)は、今年7月朝、自宅に救急車を呼び、病院に運ばれた。
突然、フッと意識が飛び、恐怖から過呼吸になったためだ。

医師に「不整脈だが問題ない」と告げられたが、不安は消えない。
そこで翌8月、国際医療福祉大三田病院(東京都港区)の心臓血管センターを受診した。

心臓は、成人で安静状態なら、1分間に60~100回拍動する。
心臓に四つある部屋の一つ、右心房には、心筋細胞の塊「洞結節(どうけっせつ)」があり、そこで作られた電気信号が心臓全体に伝わり、規則正しい拍動が起きる。
このリズムに異常が生じるのが、不整脈だ。

イメージ 1


Oさんは、胸に電極を24時間つけて心拍を調べる「ホルター心電図検査」や、超音波で心臓の様子を調べる「心エコー検査」を受け、不整脈の一つの「期外収縮」と診断された。
<私的コメント>
ホルター心電図検査」や「心エコー検査」は当院を含め、循環器を専門とする開業医ならどこでも可能です。


期外収縮は、心臓の拍動が瞬間的に通常より早いタイミングで起こる。
睡眠不足や過労、ストレスなど、交感神経の緊張が過度に高まった時に起こりやすい。
睡眠を十分にとる、ストレスをためない――など、生活習慣の改善で表れなくなることも多い。

同病院長の小川聡さん(循環器内科)に「心配のない不整脈ですね。心臓にトラブルもない。安心してください」と言われ、Oさんは「精密な検査で安心できた」と語る。

日本医科大教授の加藤貴雄さん(内科学)は「期外収縮は健康な人でもよくみられる」と指摘する。
心筋梗塞など他の心疾患がなければ、期外収縮の回数が多くても、重い不整脈にはつながらないという。治療が必要ない場合も多いが、Oさんは念のため抗不整脈薬を処方してもらった。
<私的コメント>
一部の抗不整脈薬は使用の仕方によってはかえって不整脈が増えてしまうこともあります(催不整脈作用)。したがって安易な投与は勧められません。

一方、治療が欠かせない不整脈もある。
その一つが、心房が細かく震える「心房細動」だ。

イメージ 2



心房内の血液がよどみ、血液の塊ができて脳梗塞を引き起こす恐れもある。
血液を固まりにくくする抗血栓薬などによる治療が必要となる。
高齢化とともに増えており、60~70歳代では人口の5%以上にのぼるとされる。

加藤さんは「健康診断で不整脈を指摘され、心臓に重大な病気があるのでは、と不安を抱える人も多い。まずは循環器の専門医に相談し、どんなタイプの不整脈かを見極めてもらうことが大事です」と話している。

出典 YOMIURI ONLINE yomi.Dr. 2011.10.18
版権 読売新聞社


他に
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(H20.5.22~)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(H19.8.3~)
(いずれも内科専門医向けのブログです)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)
「葦の髄」メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版です)
があります。