新しい糖尿病薬「ジャヌビア」「グラクティブ」

10年ぶりの新しい作用機序を持つ経口糖尿病薬が昨年末に新発売されました。

消化管に栄養素が取り込まれると、インクレチンであるGIPおよびGLP1が、小腸上部、下部からそれぞれ血中に分泌され、膵β細胞に作用しインスリンが分泌されます。
ところがGLP1は、DPP4によって速やかに分解されてしまいます。
このDPP-4は、食後に分泌される消化管ホルモンである「インクレチン」を分解する酵素です。
「インクレチン」は血糖値の状態に合わせ、膵臓からのインスリンの分泌を増加させるとともに、グルカゴンの分泌を減少させることで血糖値をコントロールしています

この治療薬はDPP-4を選択的に阻害することで「活性型インクレチン」を増加させ、体内の血糖値レベルに応じて血糖低下作用を発揮するというメカニズムの薬剤です。



そのため、糖尿病治療薬としてインスリンの分泌促進作用を長く発揮させるためには、DPPの酵素活性を阻害する(DPP4阻害薬)か、分子構造を一部変更し、代謝されにくくしたGLP1(GLP1アナログ)を補充する必要があります。
 
「ジャヌビア」「グラクティブ」(いずれも商品名)はDPP4阻害薬の中で最も早く承認された薬です。

このインクレチン関連薬の特徴は、
(1) 血糖依存的に強力な血糖低下作用がある
(2) 低血糖、体重増加がない
(3) ジャヌビアは1日1回の服用で済むので、いつ内服しても良い

さらに、膵β細胞の保護作用が指摘されています。
こうした特徴をもつインクレチン関連薬は、日本人の2型糖尿病治療薬に向いていると大変期待されています。

なお「インクレチン」は血糖値が正常、低値ならインスリン分泌を増強しないため、低血糖にはならないといわれていますが、従来の経口糖尿病薬との併用で低血糖の報告が最近されており問題となっています。

http://fujitaclinic.net/2010/01/post-82.html