ビールと胃がん

ビールの飲みすぎが胃がんと関係
アルコール,特にビールの多量摂取が胃がんリスクと関係すると,欧州の共同研究グループがAmerican Journal of Clinical Nutritionの11月号に発表した。

アルコールと胃がんの関係は多くの疫学研究で検討されてきたが,結果は一致していない。
同グループは,がんと栄養に関する大規模疫学研究(EPIC)で確認された胃腺がん患者444例を含む症例対照研究で,アルコール摂取と胃がんとの関係を評価した。

喫煙習慣,胃がんの発生部位(噴門部と非噴門部),組織型(胃型と腸型)によって層別化し,1日の純エタノール摂取量による胃がんのハザード比(HR)を算出。さらに,結果をHelicobacter pyloriの血清学的状態により調整した。

その結果,純エタノールにして1日0.1〜4.9gの少量のアルコール摂取と比べ,1日60g以上の多量摂取は胃がんのリスクと正の相関関係を示し,HRは1.65(95%信頼区間1.06〜2.58)と有意に高かった。
アルコール飲料別の解析ではビール(30g/日以上,HR 1.75,同1.13〜2.73)だけが胃がんリスクと関係し,ワインや蒸留酒では関係は見られなかった。

この関係は主に最も飲酒量が多い男性で観察され,非噴門部の腸型胃がんに限られていた。

Duell EJ, et al. Am J Clin Nutr 2011; 94: 1266-1275.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/21993435

出典 Medical Tribune 2011.12.8
版権 メディカル・トリビューン社