ヘルスリテラシー 「正しい医療情報」の選び方

ヘルスリテラシー 「正しい医療情報」どう選ぶ

「なんとなく体調不良が続くけど、どうしてだろう」「家族が病気らしいが、どんな治療がいいのか」・・・。

医療や健康にまつわる情報を求める時、まずはインターネットで検索するという人は多いだろう。

ところが、膨大な検索結果の中には正確でない内容が交じっていることもある。

あふれる情報を見極めるにはどのようにすればよいのだろうか。

 

ネットを使えば、国や研究機関が発信する医療健康情報を誰でも知ることができる。

一方で、科学的根拠(エビデンス)に裏付けられた標準的な治療とは異なるものや、効果があるのか怪しい商品の広告にも簡単に行き当たる。

 

後々になって後悔したり、健康被害につながったりしないよう、情報をうまく見極め、意思決定していく必要がある。

 

医療健康情報を集めて活用する力は「ヘルスリテラシー」と呼ばれる。

日本人のヘルスリテラシーを点数化すると、他国より低い傾向にある。

 

国内の1054人を対象に、ヘルスリテラシーを測る調査を実施した結果がある。

「治療に関する情報を見つける」「急病時の対処方法を知る」などの項目について難しいと感じるかどうかを尋ねたところ、47の全項目で、難しいと答えた人の割合がEU8カ国の平均を上回った。

「メディア(インターネットを含む)から得た病気に関する情報が信頼できるかどうかを判断する」については、73%の人が難しいと感じていた(EUでは49%)。

 

ネットの医療情報の信頼性を見極める方法として、五つのポイントが挙げられる。

医師が書いているというだけでは信頼できないこともある。

ウェブ広告では「PR」と小さく書かれているケースも見逃さないよう注意が必要だ。

ニュース記事に似せた広告もある。

 

信頼度の高い根拠があるかも重要だ。

少数の体験談や専門家の個人的な意見、「こんな患者がいた」といった報告はエビデンスのレベルが低い。

多くのデータに基づいた論文になって学術誌に載り、第三者の査読も入っていれば信頼性が高いという。

 

ネット以外にも、テレビや新聞、広告、口コミなど、医療情報は色々なところにあふれている。

これら5項目をチェックしてみよう。

 

一方、最近はSNSも身近な情報源だ。

ツイッターで専門家をフォローしたり、フェイスブックで患者同士のグループを作ったりすることもできる。

しかし、クローズドになりやすいSNSの世界では、怪しい情報を誰もチェックできないことがある。

 

また、SNSは似たような考え方の人ばかりが集まりやすく、誤った情報への信頼が強化されやすい。自分でも知らないうちに、バイアス(先入観や偏見)に陥りがちだという。

 

本来はヘルスリテラシーの高い人でも、病気や不安に襲われている時には注意が必要だ。

例えば、大病だと診断され、もう手立てがないなどと言われたら、誰でも冷静さを保つのは難しいだろう。

そんな時は一人で悩まず、主治医や医療機関の相談窓口など、ネットの外で幅広く意見を求めることを忘れないでほしい。

 

医療健康情報は、集めただけで終わりではない。

「どの病院を受診するか」「どんな治療を選ぶか」といった決定が伴う。

複数の選択肢を比べ、長所と短所を洗い出し、必要に応じて専門家にも相談しながら何を選ぶのか決めるプロセスを進めたい。

 

参考・引用内部改変

朝日新聞・朝刊 2020.2.8

 

<関連サイト>

ネットにあふれる医療健康情報

https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/866