お酒、飲み過ぎていませんか 「時間」「量」決め、規則正しい生活を
新型コロナウイルスの影響で、外出自粛や在宅勤務が長期化している。
働き方や生活時間の変化によるストレスで、お酒の量が増えている人も少なくない。
専門機関はアルコール依存に注意を呼びかけている。
飲み過ぎないようにするにはどうすればいいのか。
「テレワークになって、オンとオフの区別がほとんどなくなりました」。
4月から在宅勤務を始めた横浜市の会社員の女性(34)は言う。
これまでは帰宅後の午後9時過ぎ、缶ビールなど2本程度を開けていたが、今は早ければ午後4時ごろから料理をしながら酒を口にする。
多い時で缶ビールやチューハイなど5本以上飲む日もあるという。
仕事はなくならないか。
給料が減らないか。
転職しようにも景気の悪化で無理かな・・・。
「いまの生活に何となく不安を感じて現実逃避したくなる。だから4本、5本と開けちゃうのかも」
「巣ごもり需要」で家庭向けの缶入りアルコール商品は売れている。
ビール各社によると、3月の販売実績は業務用ビールなどが前年を割り込んだが、糖質オフの缶入り発泡酒は銘柄によって前年比2~3%増。
幅広い業種の消費額が落ち込むなか、酒屋の消費額が伸びているデータもある。
SNS上でも「外出が減り、人と会うことが減った。代わりに酒量と体重が増えた」「2、3カ月に1回しか飲まなかったのに今は週5で飲む」という声があがる。
「生活に大きな変化がある今こそ、お酒とのつきあい方に注意してほしい」。
そう訴えるのは、在宅ワーク歴7年のフリーライターMさん(38歳、男性、東京在住)だ。
2013年に編集プロダクションから独立すると、在宅の仕事が増え、仕事と私生活の境目があいまいになった。
「酒が自分の生活のなかに細切れに侵食してきた」と振り返る。
休みが週3日の時もあり、昼から飲み始める日が出てきた。
打ち合わせの3時間前に薄めた酒を飲んだり、出先でのインタビューが終わったらカバンに忍ばせた缶チューハイをすぐ開けたり。
16年5月までに2度、急性膵炎で入院。
アルコール依存症の専門外来に半年かけて通い、いま日常を取り戻した。
「オンライン飲み会など、気軽な飲み方も話題になっているが、いつ悪い方に転がるかわからない。『自分は大丈夫』と思わず、散歩や早寝早起きなど以前からの生活リズムを守ってほしい」と語る。
■ 続く外出自粛、依存症に注意
世界保健機構(WHO)は3月、ホームページで注意喚起した。
ストレスや不安感の解消のほか、自宅で時間をつぶすため、「精神作用物質(薬物、アルコール)の使用またはゲームやギャンブルに陥りやすい」と指摘。
日本アルコール・アディクション医学会も4月、酒など依存症への注意を呼びかけた。
外出自粛が長引き、経済不安が続けば、アルコール依存の問題は出てくる。
酒量を抑えるために大事なことは「飲み始めの時間」や「量」を決めることだ。
厚労省によると「節度ある適度な飲酒量」は純アルコールで1日平均約20グラム。
500ミリリット缶ビールで1本、日本酒1合に相当する。
男性で1日40グラム以上、女性で20グラム以上は、生活習慣病のリスクを高めるという。
1日1回、午前中に外に出て太陽を浴びること。
家の中にこもると生活時間がずれて不眠になり、結果としてアルコールに依存する原因になりかねない。
今後の経済不安も気にかけたい。
失業率の増加はアルコール依存と関係がある。
オンラインで人とコミュニケーションを取るなど、心身を整え、規則正しい生活を心がけよう。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2020.5.6
<関連サイト>
お酒との上手なつきあい方
https://aobazuku.wordpress.com/2020/05/28/お酒との上手なつきあい方/