酒の飲み過ぎご用心

20代、酒の飲み過ぎご用心　生ビール3杯目は黄信号 一緒に水を／ストレス解消に用いず

春から新社会人になる人は、お酒を飲む機会が何かと増える。
お酒に慣れていないと、飲酒のリスクをつい軽視しがち。
悪酔いを防ぐ飲み方と、お酒との適切な付き合い方を知っておく必要がある。
　
若い世代は、自分の酒の限界を知らないので危険だ。
例えば20代は短期間に大量に飲酒する傾向がある。
急性アルコール中毒が原因で救急搬送される人は、20代が群を抜いて多い。
　
飲酒の影響や、体に起きる変化についての正しい知識が不可欠だ。
飲酒で血中アルコール濃度が上昇すると、アルコールの脳への作用で口数が増え陽気になる。
さらに上昇すると、まっすぐ歩けない、ろれつが回らない、立てないといった状態になる。
　
酩酊して記憶を失うと、転倒や転落、他者への暴力などのリスクを招き、大きな代償を払うことにもなる。
適切な飲み方や自分の体質を知ることが大事だ。
　
アルコールの適量には個人差があるが、公益社団法人アルコール健康医学協会（東京・文京）が公表しているアルコール血中濃度と酔いの状態のデータが参考になる。
　
お酒を飲み慣れていない人は、血中アルコール濃度が0.05～0.1パーセントの『ほろ酔い』で止めておくのがベスト。
体重60キログラムの男性の場合、ビール中瓶（500ミリリットル）で1～2本、中ジョッキ（約400ミリリットル）だと2杯飲んだタイミングが目安になる。
日本酒で1～2合、ウイスキー（シングル）だと3杯に相当する。

アルコールは脱水作用を招きやすいため酒と一緒に、同量または多めの水を飲んでおく。
脱水が進むと不快な喉の渇きや頭痛、倦怠感、ひどい時は血液がドロドロになって心筋梗塞や脳血栓を引き起こすことにもなる。
水を飲むと満腹感が得られるうえ、体内のアルコールを薄めて、吸収を穏やかにする効果がある。
　
アルコールの代謝能力には男女差がある。
一般的に、男性より体の水分量が少ない女性は血中アルコール濃度が上がりやすく、肝臓でのアルコール分解に時間がかかるため、男性よりも飲酒の影響を受けやすい。
大量の飲酒が将来の乳がんの発症リスクを高めるとの研究もある。
ところが若い世代ほど、飲酒経験率の男女差が小さい。
女性は少なめの飲酒を心がけたい。
　
以前より減ったものの、今も残るのが一気飲みだ。
一気飲みは重篤な場合、死に至ることもある。
アルコールが分解されて生じるアセトアルデヒドは毒性が強く、酒に弱い人には影響が早く出やすい。
一気飲みはハラスメントだと認識し、「しない、させない」ことを徹底しよう。
　
酒をストレス解消の道具にしないことも大切だ。
アルコール度数が高い酒の酔いで全てを忘れたいと思う人は、かなりのストレス状態にある。
20代でアルコール依存症になるのはまれだが、日常的に純アルコール換算で60グラム（日本酒で3合）以上飲む人は注意が必要だ。
止めようとすると余計ストレスになるので、酒量を減らす努力をしたい。

酒は量より質、と考えよう。
　
過度の飲酒は肝障害や膵臓の病気などを招く。
お酒の正しい飲み方を身につけて、悪酔いや将来の病気に悩まぬよう心がけたい。

＜まとめ＞
・急性アルコール中毒は20代が突出して多い

・飲酒中､こんな変化に注意
　　抑制が外れる
　　声が大きくなる
　　立つとふらつく
　　判断力が少し鈍る
　　陽気になる
　　おしゃべりになる

・血中アルコール濃度を0.05% ~ 0.1%までにとどめる
　
　算出方法
　血中アルコール濃度(％)＝[ 飲酒量（ml）× アルコール濃度

（％）] ÷ [ 833 × 体重（kg）]

・飲み会で悪酔いしないために
　　ビールやサワーなどアルコール度数の低いお酒を選ぶ
　　おつまみを食べながら、できるだけゆっくり飲む
　　お酒の合間に水を飲む

　　脱水を防ぐ
　　アルコールの吸収を穏やかにする
　　満腹感で酒量が滅る

参考・引用　
NIKKEIプラス1　2018.3.17