体脂肪率 「脂肪の割合」、電気で推定
体脂肪が増えると、血液中の脂肪が増えて血管が詰まりやすくなったり、糖尿病や高血圧といった生活習慣病になったりするリスクも高まってくる。
体脂肪とは全身の脂肪のこと。
人は毎日食事をし、その食事をし、その食べ物から糖分や脂肪を摂取する。
摂取した脂肪や糖分は、その日の体温を保ったり、歩いたり仕事をしたりするエネルギーとして使われたりするが、使い切れず余った分は体脂肪として蓄えられ、増えすぎれば肥満になる。
健康維持のためにも、自分の体脂肪率を把握しておとことが大切になる。
体脂肪率とは、体脂肪が体重に占める割合のことを指し、体組成計で測ることができる。では、体脂肪率はどうやって測るのか。
筋肉組織は血液や水分が多く、電解質も多いので電流がよく流れる。
一方、脂肪は脂の塊なので電流は通りにくい。
その性質を利用して体脂肪の量を測る。
乗って測る体組成計では、体に感じないくらい微弱な電流をつま先から流し、かかとで電圧を測る。
電圧を電流で割ると体の電気抵抗がわかり、その電気抵抗値と、あらかじめ入力された身長の値を使って体脂肪の割合を算出する。
体重計などを製造・販売するタニタでは、1万4千件の様々な年齢の男女の統計データを蓄積していて、そのデータを基に、どのくらいの体脂肪がついているのかを推定しているという。
年齢や男女で違う適正値運動と食事で保って健康管理
では一日のうち、体脂肪率はいつ測るといいだろうか。
できる限り同じ時間帯、同じ行動のあとに測ろう。
おすすめは、仕事などから帰宅後、夕食の前。
起床後や運動後で脱水気味だったり、食後で体重が増えていたりすると、高めの値が出やすい。
体の水分量や体温の変動により、一日の中でも電流の流れやすさに影響が出ている。
正確な値を測定するためにも、服装などの条件をそろえて計測することが大切だ。
体脂肪率も少なければいいというものではないようだ。
性別や年齢によって適正値があり、例えばタニタが公表する数値では、18~39歳の男性なら11~21%、同じ年代の女性なら21~34%が標準となる。
適正な範囲の体脂肪率を保つことが健康維持の鍵になる。
それでは、脂肪1キロを消費するにはどれくらいのエネルギーが必要なのだろうか。
脂肪1グラムは9キロカロリーだが、1キロの脂肪を消費するには9千キロカロリーが必要かといえばそうでない。
脂肪は約8割が脂質で、残り2割ほどは水分や細胞を形成するさまざまな物質でできている。
これを踏まえて計算すると、脂肪1キロを消費するのに必要なエネルギーは、9千キロカロリー × 80%=7200キロカロリーとなり、1ヵ月で1キロの脂肪を減らしたい場合は、1日あたり240キロカロリーを減らせばいいということになる。
運動を習慣化するためにも、誰でも取り組みやすいウォーキングから始めるのがいい。
時速6キロで1時間程度歩くと、1日で300キロカロリー程度を減らせる。
さらに筋力をつけたい人や時間がない人は、坂道を小走りしたり、階段を駆け上がったりして強度を上げるといい。
年齢とともに代謝は落ちていく。
健康増進のためには運動だけでなく、ご飯やパンなど炭水化物の量を減らして、魚や肉といったたんぱく質や野菜類を増やすなど、バランスのとれた食事も大切だ。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2020.5.2
<関連サイト>
体脂肪
https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/1162