うがいの予防効果 はっきりせず

うがいの予防効果 はっきりせず 厚労省「科学的根拠ない」

風邪などの感染予防で呼びかけられることが多い「うがい」。

新型コロナウイルス対策で、世界保健機関(WHO)や厚生労働省などが手洗いやマスク着用を勧めているが、うがいの効果については、はっきりしていない。

新型コロナに対する効果はどの程度あるのだろうか。

 

手洗いやマスクは勧められるが

厚労省はウェブサイト上で新型コロナの予防法として、せっけんによる手洗いや手指の消毒、マスクの着用などを挙げているが、うがいについての記載はない。

 

厚労省は、新型コロナに対するうがいの効果について、「科学的に確立されたエビデンス(根拠)はない」と説明する一方、「のどの調子を整えるために習慣になっている人もいる。とくに推奨はしていないが、否定するものではない」とする。

 

うがいは、国内では学校などで広く呼びかけられる習慣だが、欧米などでは手洗いや手指の消毒と比べて、それほど普及していない。

感染症の予防効果を巡る学術論文もあまり多くない。

 

欧米は普及でず

そのひとつが、京都大学の研究チームが2005年に国際医学誌に発表した論文だ。

うがいが風邪予防に効く可能性を示した。

 

風邪の流行する冬季に18~65歳の387人に協力してもらい、

① 水でうがいをする

② うがい薬でうがいをする

③ 積極的にうがいをせずそれまで通りの習慣を続ける、

の3グループに分けて2ヵ月間にわたって風邪をひくかどうかをみた。

 

うがいは1日3回してもらった。

 

すると、水でうがいをするグループがもっとも風邪をひきにくく、積極的にうがいをしないグループに比べて風邪をひいた人の割合が36%少なかった。一方で、うがい薬でうがいをしたグループは1割ほど少なかった。

 

実験した京都大の川村孝名誉教授(疫学)は「うがい薬のグループがもっとも風邪を引きにくいと予想していたが、水うがいのグループがもっとも風邪を引きにくいのは予想外だった」と振り返る。

 

そもそも、うがいをしても、のどからウイルスを除去しきれるわけではない

ウイルスはのどや鼻の中などの「上気道」に入ると、すぐに細胞の中に入るためだ。

 

なぜ水うがいをしたグループが、風邪をひきにくいのかについて、詳しい理由はわかっていない。

ただ、うがいはウイルスが持つ、増殖に欠かせない酵素「プロテアーゼ」を取り除く可能性もある。

 

「WHOは効果に懐疑的」「やって損なし」

WHOは、うがいの新型コロナウイルスへの予防効果には懐疑的だ。

定期的に塩水で鼻うがいをすると、ふつうの風邪が早く回復する効果が一部の研究で認められているが、新型コロナの感染を防ぐ証拠はないとしている。また、うがい薬に関しても、新型コロナへの感染予防の効果はないと呼びかけていた経緯もある。

 

しかし、うがいに新型コロナへの予防効果が確かめられているわけではないものの、うがいは手間もコストもかからず、薬やワクチンのように副作用もない。

やって損になることはない。

 

参考・引用一部変更

朝日新聞・朝刊 2020.9.26

 

<関連サイト>

うがいの効果は?

https://wordpress.com/block-editor/post/aobazuku.wordpress.com/1527