(新型コロナ)手作りマスク、漏れ率は? 飛沫防止、不織布の方が効果
新型コロナウイルス感染症対策で、マスクの着用は日常になった。
様々な手作りマスクも使われている。
手作りマスクの材料に化学繊維を使うのと、綿100%では効果が違うのだろうか。
不織布マスクと比べたときの違いは何なのか。
手作りマスクの実力は、どの程度なのか。
布マスクの「漏れ率」100% すきまからウイルス侵入
理化学研究所などのチームはスーパーコンピューター「富岳」を使って各種のマスクの効果を調べた。
対象は市販の不織布マスク、ポリエステル素材の手作りマスク、綿の手作りマスクで、サイズや形は同じとした。
せきによってしぶき(飛沫)が飛び散るのをどのくらい、どのように抑えるのか、シミュレーションした。
不織布マスクでは、生地を通り抜けて前方に飛ぶ飛沫はほとんどないが、鼻の脇などの隙間から20マイクロメートル以下のものが漏れるとの計算結果に。
ポリエステルのマスクでは、隙間から漏れるものは不織布より少なかったが、0.3マイクロメートル以下の粒子では、2割ほどが生地を通り抜けると計算された。
綿のマスクではさらに生地を通り抜ける粒子の数が多く、0.3マイクロメートル以下のものは4割ほどが、50~100マイクロメートルのものも1割ほどは漏れる結果になった。
遮られた飛沫の粒子の数で考えると、不織布の方が手作りマスクより、全体的な性能は高かった。
ただ、手作りマスクも大きな飛沫の大部分は通さないため、大小の飛沫を合わせた体積で考えると、不織布とポリエステルのマスクで8割程度、綿のマスクで7割程度の飛沫を抑えることが期待される。
一方、フェースシールドの効果も計算したところ、5マイクロメートル以下の粒子はほとんどが漏れ、50マイクロメートルの飛沫でも半分が漏れる結果になった。
チームは「大きな飛沫については捕集効果は見込めるが、効果は限定的」としている。
手作りマスクでも数十マイクロメートル以上の大きな飛沫のブロック効果は十分ある。
息苦しいからと外してしまうより、空気が通りやすく性能が落ちたとしても、つけるほうがよい。
細かい粒子はどの条件でも漏れるため、換気にも気を使うことを勧める。
また、米デューク大の研究者らは9月、14種類のマスクや代替品が、会話による飛沫をどのくらい防ぐのか、実験した結果を科学誌サイエンス・アドバンシズに発表した。
「ネックゲーター」と呼ばれる簡状の布を口元から首にかけて巻いた場合、マスクをしていないのに比べて飛沫が1割増えた。
詳しい理由はわからないが、チームは大きな飛沫を分散させてしまった可能性を指摘している。
コメント
「ネックゲーター」については、飛行機の機内で乗務員と「ネックゲーター」を着用している乗客との間でトラブルになったことがありました。
飛沫が却って増えてしまう理由は是非とも解明してもらいたいものです。
また、マウスガード(シールド)やフェイスガード(シールド)の効果はかなり限定的であることが判明していますが、マスクとの併用効果がどうなのか検討するのも喫緊の課題です。
この記事では、「他人への感染防止」の観点から書かれていますが、「他人からの感染予防」の問題点が欠けています。
最近、国内の大学の共同研究でも、どちらかというと感染者の立場での研究です。
感染防護の点からは、不織布マスク(N95)とフェイスシールドの併用は必須です。
バライティー番組での芸能人や政治家などが、マスクをつけず格好のよい(?)マウスシールドやフェイスシールドを着用していますが、TV局もテロップで効果が極めて薄いことを全国民に啓蒙すべきです。
(いっときかもしれませんが、たとえば入浴シーンでタオルを湯船の中で着用する場合にはコメントがついていました)
科学的根拠があるわけですから、TVなどでも、政府公報などを通じて「正しい感染防御策」を啓蒙すべきです。
こういったことは、ニュースで毎日の感染者数を逐一報道して国民の不安を煽ることよりはるかに有意義であるはずです。
要は「正しく恐れる」ことの全国民の共有です。
政府の某要人がマウスシールドだけをつけて格好をつけているのは論外です。
こういった立場の方は、医学的根拠に基づいた予防策を実行し、国民に範を示す責任があります。
政治が科学を軽視する。
世界的傾向かも知れません。
米国やブラジルの大統領、身近では科学者会議の例など科学の上に政治が立つことは実に恐ろしい現象と言えます。
参考・引用一部改変
・朝刊 2020.10.11
<関連サイト>
スパコン「富岳」によるマスクシミュレーション
https://wordpress.com/block-editor/post/aobazuku.wordpress.com/1545