クラスター予防、「五つの場面」避けて 政府分科会呼びかけ
各地でクラスター(感染者集団)が起き、急速な感染拡大の恐れが指摘される新型コロナウイルス。
これまでの分析で「3密」だけでなく、お酒を飲む大人数の会食や仕事の合間の休憩時間といった「五つの場面」で特に感染が広がりやすいことがわかってきた。
年末を控え、改めてクラスターの発生を抑えることが大切だ。
■ 酔うと注意力低下、大人数で声大きく
「この感染症は主にクラスターを介して拡大する。今年の冬に備えるにはしっかりとクラスター連鎖を抑えることが必須だ」。
10月23日にあった政府の新型コロナ対策の分科会後の会見で尾身茂会長はこう強調した。
分科会で示されたのは、クラスターが発生した12自治体からの聞き取りや国立感染症研究所の分析を元に、感染リスクを高めやすいことが明らかになった5場面だ。
3密の回避や手洗いなどとともに、これらの場面を避けることが大事だという。
忘年会シーズンを前に気をつけたいのは「酒」。
「飲酒を伴う懇親会」「大人数や長時間におよぶ飲食」の2場面がまずは要注意だ。お酒を飲むと、気分が高揚して注意力が下がり、どうしても感染予防への意識が低くなってしまう。
聴覚が鈍くなったり、参加者が5人以上と多くなったりすると大声になり、飛沫が飛びやすくなる。
敷居で区切られた狭い空間に長時間、大人数でいると感染リスクが高まる。
「マスクなしでの会話」も、飛沫感染のリスクが高まる。マスクをつけずに会食をしたり、接待を伴う飲食店で接客をしたり、「昼カラオケ」でマスクせずに歌ったりしてクラスターが発生したケースがある。
車やバスでの移動中も気をつけた方がいい。
学校の寮生活など「狭い空間での共同生活」ではどうしても互いの距離が近くなりがちになる。
部屋やトイレなど共用部分も多く、感染が疑われる例が報告されている。
これまであまり触れられてこなかったが、「居場所の切り替わり」も気をつけた方がいい。
仕事をしているスペースは人と人との間隔が空いているが、休憩時間に休憩室や喫煙室に移動すると気が緩み、対策がおろそかになりがちだ。
特に喫煙室は密集した状態でマスクを外して会話をすることが多いので注意が必要だ。
ほかにもスポーツ前後に換気が不十分な更衣室で長時間過ごし、感染が広がった例が報告されている。
いずれも狭くて換気が不十分な空間で、マスクをせずに近い距離で会話をすることでリスクが高まった。
脇田隆字・感染研所長は先月22日にあった厚生労働省の専門家組織の会合後の会見で、「感染リスクの高い場面を十分理解して、リスクを減らすことが重要。『コロナ流行前の生活に戻れる』と思うことがあるかもしれないが、状況は改善しておらず感染リスクがある。市民一人ひとりの理解が必要だ」と述べ、改めて注意を呼びかける。
■食器は共有しない/指針守る店へ
会食の場で感染リスクを下げるにはどうすればいいのか。
分科会は、体調が悪い人は参加を控え、複数人で食事をする際は「斜め向かいに座ること」を推奨する。
正面や真横に座った人が感染したのに斜め向かいの人は感染しなかった報告例があるからだ。
お酒を飲むと、どうしても会食の時間が長くなりがちで、感染リスクが高まる。
予定よりも多い人数が参加し、密な状況になることもある。
少人数・短時間で、「飲み相手」は普段一緒にいる人であることが望ましく、「深酒」「はしご酒」は控え、適度な酒量にするよう呼びかけた。
分析では、食器や大皿料理の共有、利用客が席を移動してテーブルを回ることで感染が広がった例もあるという。
回し飲みや近い距離でのお酌はせず、箸やコップは使い回さず一人ずつ使うことが大切だとした。
クラスターの分析では、業種別の感染防止のガイドラインを守っていた飲食店では、従業員が感染していても100人以上いた利用客には感染しなかったことが判明。
ガイドラインを守っている店に行くことも勧めている。
参考・引用一部改変
朝日新聞 2020.11.16
<関連際T>
感染リスクが高まる「5つの場面」
https://aobazuku.wordpress.com/2020/11/18/新型コロナ%E3%80%80感染リスクが高まる「5つの場面」/