新型コロナワクチン、途上国置き去り

ワクチン、途上国置き去り 接種多い4カ国で世界の7割 

新型コロナウイルスの世界の感染者が1億人を超えた。

感染拡大に歯止めをかけようと各国のワクチン争奪戦が激しさを増すほど、世界規模での格差が生まれている。

 

「豊かな国々がワクチン 接種を進め、貧しい国々は成り行きを見ている。世界で持てる者と持たざる者の格差が日々広がっている」。

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は25日、危機感をあらわにした。

 

WHOによると、少なくとも49の高所得国で3900万回以上のワクチン接種されたが、最貧国の一つ、アフリカのギニアでの接種は25回だけ。

欧米で実用化した米ファイザー・独ビオンテック製のワクチンは85%、米モデルナ製は全てを先進国に確保された。

 

英オックスフォード大などが27日午後7時時点で公表しているデータによると、世界で投与されたワクチンは約7100万回。

このうち米国が3割超、中国が約2割、英国が約1割、イスラエルを含めた上位4カ国で7割を占める。

アラブ首長国連邦、インド、ドイツ、イタリアなどが続く。

 

人口当たりの接種数で世界トップは、人口の約3割となる約270万人に接種したイスラエル

3月末までには、16歳以上の国民全員への接種完了を目指す。

 

ネタニヤフ首相はファイザーのCEOと直接交渉を重ね、他国に先駆けて大型契約を結んだ。

やや高値を支払ったとされるほか、全国民の医療情報をデジタル管理するシステムを生かし、感染や接種状況などの統計データを同社に提供することが契約成立の決め手になった。

1度目の接種から2~3週間後には感染率に3~6割の低下がみられたとの報告がある。

コメント

交渉は金銭だけではないことがわかります。

「全国民の医療情報のデジタル管理」は、医学論文を読む限り多くの先進国では今や常識です。

一方、日本はといえば「個人情報優先」で、国民自体がデータ管理されることには反対する風潮にあります。

デジタル改革担当は、国民の生命を守るという観点からも、こういったところにも目を向けていただきたいものです。

いまや、ビッグデータは物事を客観的に判断する際には必要不可欠なものになっているのです。

論理的、科学的にものを考えるというよりは、情緒的、感情的に流されるというのが日本人の特質かも知れません。

前政権そして現政権もそうです。

コロナ禍にあって、マスコミの情報から「宿泊業や飲食業が苦しんでいるようだから経済的な援助をしよう」と刹那的、感情的になってしまうのが現実です。

苦しんでいる業界は山ほどあるのです。

なぜそうなるか。

それは政治家の多くが文系出身で、論理的思考が苦手だからではないかと推察します。

新型コロナに関してもそうです。

医学の専門家の意見を謙虚に聴く態度が希薄です。

そういえば、米国元大統領もそうでした。

「科学を軽視する国は滅びる」ということだけは言っておきたいと思います。

 

国の貧富にかかわらず、ワクチンの共同購入で、公平に分配する仕組みはある。

WHOなどが主導する「COVAX(コバックス)ファシリティー」は年末までに20億回分を確保し、参加国の人口の最大2割に届ける構想を描く。

しかし、先進国や中進国が競って製薬会社と直接契約を結ぶため、価格が上がり、COVAXに必要量がまわらない恐れが出ている。

 

国際商業会議所(本部・パリ)が25日に公表した研究では、先進国での接種を優先して途上国で接種しない場合、世界経済は今年だけで最大9.2兆ドル(約950兆円)の損失を被る。

先進国がワクチン 接種で感染拡大を抑えても、貿易相手の途上国の感染が収まらなければ、結局は先進国の経済活動にも悪影響が及ぶ。

 

テドロス氏は「ワクチンナショナリズムは短期的な政治目標に役立つかもしれないが、公平な分

配はすべての国の中長期的な経済利益にかなう」と訴える。

 

参考・引用一部改変

朝日新聞・朝刊 2021.1.28

 

<関連サイト>

主な新型コロナウイルスのワクチン

https://aobazuku.wordpress.com/2021/01/29/主な新型コロナウイルスのワクチン/