2回接種の4カ月後、予防効果53%に減 ファイザー、データ提出
新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種(ブースター接種)に向け、米製薬ファイザーなどが米食品医薬品局(FDA)に提出した資料が明らかになった。
2回の接種後、徐々にデルタ型への感染予防効果は下がり、4カ月以降に当初の53%になった。
追加接種すれば感染リスクは約11分の1になるとして実施を求めている。
米政府は20日に追加接種を始める計画を立てており、FDAなどが専門家による検討を進めている。
日本でも厚生労働省が17日、3回目接種に向けた専門家による議論を始める。
米国は2回目の接種を終えて8ヵ月後の人を対象に3回目接種を始める方針だ。
厚労省の分科会でも、こうした接種間隔を軸に接種の時期などを議論する見通しだ。
ファイザーがFDAに提出したデータは米国やイスラエルで実施した複数の研究がベースになっている。
ワクチンの効果の低下については、米国で12識以上の約340万人分のデータをもとにした分析を示した。
デルタ型に対する感染予防効果は2回接種から1週間の完全接種の状態から1ヵ月以内だと93%あるが、次第に低下した。
イスラエル保健当局のデータに基づき、重症化予防効果が60%未満に落ちる可能性も示した。
<コメント>
そもそも注射によるワクチンは、鼻粘膜から侵入するインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスに対して予防効果には限界があるとされてきた。
感染予防を目的とするなら、現在開発中の鼻スプレーワクチンの方が効果が高いと言われています。
重症化や死亡予防効果は、注射によるワクチンで期待出来るわけですから鼻スプレーが使用できるようになれば両者の併用でダブルブロックが期待出来そうです。
追加接種の効果についても、すでに始めているイスラエルのデータで明らかになった。
追加接種から12日経過した人の感染率は、追加接種していない人の約11分の1に下がり、重症化する割合も約20分の1に下がった。
同じく追加接種を申請したモデルナが15日に公表したデータでも、感染予防効果の低下が見られた。
臨床試験で2020年に接種した人の感染割合は最近接種した人に比べて57%高かった。
ワクチン接種が進む先進国では追加接種の検討が進む。
英国政府は14日、50歳以上、医療従事者、16歳以上で基礎疾患を持つ人を対象に、2回目の接種から6ヵ月がたっていることなどを条件に3回目の接種を来週から始めると決めた。
ただ3回目接種には異論もある。
多くの発展途上国が2回接種のためのワクチンをまだ十分に入手できていないためだ。
FDAの一部の研究者らは英医学誌に13日公開した論文で「重症化予防には高い効果を維持しているので、現状では一般の人への追加接種は必要ない」と主張。
「追加接種で得られる利点が、未接種者への接種を進め利点を上回ることはない」と指摘した。
英調査会社の推計によるとワクチンの累計生産は21年末までに120回分を超え、世界で必要な数を上回る。
置き去りになる国・地域がないように配分バランスに留意することが必要だ
参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2021.9.17