数理モデルが導くコロナ対策

感染の連鎖を断ち切る 数理モデルが導くコロナ対策

「広島方式」の要は徹底検査

人から人へのウイルス感染を封じ込めるイロハとなるのはいつの時代も「検査と隔離」である。

広島県が4月、誰もが何回でもPCR検査を無料で受けられる独自の新型コロナウイルス対策を始めた。

関西を中心に「第4波」が到来するなか、流行の火種となるクラスター(集団感染)を「見つけて潰す」のではなく「そもそもつくらない」。

日本と中国の数学者がコロナ禍の1年を振り返り考案した数理モデルに基づいている。

 

この感染症モデルをつくったのは、東京大学の合原一幸特別教授と中国・上海師範大学の応用数学者らの共同研究グループ。

社会の複雑な現象を数式に落とし込み最適解を探る数理工学の手法を、新型コロナの流行に当てはめた。

結論は感染者の増加率は「感染率」と「感染に関与する人口」そして「新規感染者の見逃し率」の3つのパラメーター(変数)に比例するというものだ。

 

感染率はすなわち「感染のしやすさ」。

マスクや手洗いの徹底、「3密」回避によって下げることができる。

そして「関与する人口」は外出する人の流れ(人流)。

不要不急の外出自粛や飲食店の休業・時短要請に左右される。

 

最初の緊急事態宣言から1年がたち、コロナの流行もある意味、日常化した。

国民一人ひとりに我慢を強いる対策は「疲れ」や「慣れ」から理解が得にくくなっている。

「感染率」と「関与する人口」を今まで以上に下げるのは難しい。

 

ならば、検査と隔離を徹底し、新規感染者の見逃し率を下げることで、(1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す)実効再生産数を抑えることができる。

 

広島方式は湯崎英彦知事がこの感染症モデルの存在を知り、トップダウンで始まった。

県内5力所に設置したPCRセンターで、県内の居住者と就業者であれば誰でも何回でも唾液による検査を受けられる。

 

無症状者が多い20代、30代に積極的に協力してもらえるよう、広島市

の薬局で検査キットを受け取れるようにもした。

検査で陽性が判明すれば指定のホテルで健康観察と称する隔離となる。

 

県が確保する広島方式向けPCR検査能力は1日6300件。

2月に実施したトライアル(試行)では6日間で約6500人が検査を受け、陽性率は0.06%だった。

4月以降は薬局を介した分も含めて、当面1日約600人の利用を見込む。

最初の1週間で約4900人が検査を受けた。

検査コストは1人あたり2000円という。

<コメント>

PCRとしては格安と思われます。

この検査コストは個人負担の費用でしょうか。

それとも無料で検査を実施して貰えるのでしょうか。

 

広島県でも昨年12月から今年2月にかけて流行が広がった際には、時短要請などで約150億円の財政を出動した。

県健康福世局の担当者は「PCR検査の集中実施にかかる費用は桁違いに小さ

い。感染の連鎖を断ち切りクラスターを未然に防げば、社会・経済へのダ

メージも小さくてすむ」と言う。

<コメント>

無症状感染者の存在も感染拡大の一因です。

人流増加の主な原因となり、かつ夜の飲食の機会の多い20代、30代に着目して検査を徹底することは必要なことです。

しかし、希望者にだけPCR検査を行う形式は自ずから限界があるようにも思えます。

それは、陽性の結果が出ると不都合(面倒)だと考える人もいるからです。

そういう人は積極的には検査は受けません。

 

感染症などの予防には「積極的対策」と「消極的対策」とがある。

例えばワクチンや検査は前者の代表例で一般の人にもその効果が実感しやす

い。

一方、自粛のような「行動を控える」消極策は、どの程度感染から免れたかが、どうしてもわかりづらい。

 

ワクチンが普及するまでの間、コロナとうまく付き合うには何らかのすべがいる。

今、日本社会に求められているのは、説得力あるエビデンス(科学的根拠)に基づくコロナ対策ではないか。

<コメント>

「説得力あるエビデンスに基づくコロナ対策」・・・こういった論調は新聞、特に社説などにありがちです。

少し考えたら「当たり前」のことを言っているだけで中身がありません。

具体的な提言や対案がないからです。

(これは国会での野党の質問の内容にも共通することです)

 

参考・引用一部改変

日経新聞・朝刊 2021.4.26

 

<関連サイト>

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https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/pref/hiroshima.html

はたして効果は出ているでしょうか。

効果が出ているということなら全国に同様な対策が拡がると思われるのですが。