抗老化物質、女性が10週飲むと? 

抗老化物質、50~70代女性が飲んだら

米ワシントン大の研究グループが、動物でさまざまな老化現象を抑える効果が確認された物質をヒトに応用した研究結果を23日、科学誌サイエンスに発表した。

50~70代の女性の筋肉で、血糖値を調整するインスリンの働きが改善されたことがわかった。

 

この物質は「ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)」。

体内にありブロッコリーや枝豆などにも含まれる物質だ。

グループはこれまで、NMNをネズミ(マウス)に1年間飲ませたところ、「中年太り」を抑え、老化に伴って起こる免疫や骨密度、目などの機能低下を防ぐ効果を確認していた。

NMNには雌のマウスの糖尿病を改善する効果が高いことも突き止めていた。

 

そこで、肥満があり、糖尿病になる確率が高いとされる55~75歳の閉経後の女性に研究に参加してもらい、13人にNMN、12人に偽薬を毎日10週間にわたって飲んでもらった。

すると、NMNを飲んだ女性は、筋肉の細胞で、インスリンの働きが25%上がった。

 

肥満があると、血糖値を調整するインスリンの働きが悪くなり、糖尿病になりやすいことが知られている。

今回の研究でみられた改善は、体重70キロの人が努力して7キロ体重を落とす効果とほぼ同じだという。

 

ただ、脂肪や肝臓ではこの効果が見られず、血糖値の変化はなかった。

 

グループの今井真一郎教授は「マウス実験より、今回はNMNの量が少なく期間も短い。効果の違いはそのためなのか、条件を変えて調べていく必要がある」と話した。   

 

朝日新聞・2021.4.24