1、2回目で別ワクチン 混合接種が欧州で広がる
1、2回目で別ワクチン 混合接種が欧州で広がる 「免疫反応強まる」報告
新型コロナウイルスのワクチンで、1回目の接種は英アストラゼネカ(AZ)製、2回目に米ファイザー製などと異なる種類を使う「異種混合接種」の試みが欧州などで広がる。
AZ製でごくまれに起こる副作用の血栓症を避けるだけでなく、免疫反応の強化やワクチン供給不足への対応などでも期待されている。
ドイツ政府は22日、メルケル首相が米モデルナ製ワクチンを接種したことを明らかにした。
イタリアでもドラギ首相がファイザー製を接種したという。
両氏は1回目にAZ製を接種していた。
新型コロナワクチンの多くは2回接種が必要で、1回目と2回目に同じ種類を使うのが原則だ。
異なる種類を組み合わせた際の有効性や安全性を臨床試験(治験)で調べていなかったからだ。
混合接種が注目されたのは、AZ製の副作用が問題となってからだ。
まれな血栓症のリスクが判明し、各国は接種対象を高齢層に限るといった対応を取った。
ただ1回目にAZ製を接種した人の2回目をどうするかが議論となり、同じワクチンを2回打つ「同種接種」と混合接種の差を探る研究が進んだ。
スペインのマドリード自治大学などは25日、AZ製とファイザー製を混合接種した際の免疫反応などを調べた論文を英医学誌ランセットに発表した。
研究には約660人が参加。
AZ製の接種から8~12週間後にファイザー製を接種すると、接種しなかった人に比べて抗体の量が大幅に増えるなど強い免疫反応が確認できた。
専門家による査読を受ける前の論文だが、英オックスフォード大学も混合接種の結果を公表した。
最初にAZ製、4週間後にファイザー製を接種すると、AZ製を2回接種するよりも抗体の濃度が高くなり、免疫細胞の反応も強くなった。
ただ、抗体の量はファイザー製の2回接種の方が多かった。
ファイザー製とモデルナ製はメッセンジャーRNA、AZ製はウイルスベクターというタイプで仕組みが違う。
異なる種類を組み合わせることで免疫が同種接種より強まる可能性も指摘される。
副作用についてはAZ製の接種回数が減ることで血栓症のリスクは下がるが、倦怠感など短期的な症状は増える可能性もある。
オックスフォード大などの中間報告によると倦怠感や頭痛などの報告が増えた。
参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2021.6.30