塩野義の3回目用ワクチン、ファイザーと同程度の有効性
塩野義製薬は4日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、3回目(ブースター)接種用として行った臨床試験(治験)の結果、米ファイザー製のワクチンと同程度の有効性があったと発表した。
重篤な副反応はなかった。
1、2回目接種用の治験も近く終える予定で、この春に厚労省に承認申請することを目指している。
治験は昨年12月から、ファイザーのワクチンを2回接種した約200人に実施。
3回目として、約100人ずつにファイザーと塩野義が開発中のワクチンのいずれかを打ち、感染を防ぐ中和抗体の量や副反応が出る割合などを比べた。
接種から28日後の被験者の平均抗体量は同程度だった。
副反応は接種部の痛みが69例(ファイザーは75例)、倦怠感が45倒(同55例)、発熱が40例(同61例)などで、いずれもファイザーより少なかったという。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2022.3.5
<コメント>
有効性の判定をどのように行うか、と思いながら読みましたが、結局は中和抗体の量をみるものでした。
現時点で新型コロナ検査(当院では主としてNEAR法を使用)で陽性の多くは、すでに2回目のワクチン接種を終了している方です。
3回目接種が足踏み状態に中、ほとんどが2回目接種から最低でも6か月が経過した方です。
感染を防ぐには3か月毎に接種すべきという考えもあるようですが、あくまでも仮説でしかなく、現実的にもこういった接種は困難です。
インフルエンザワクチン同様に、感染抑止力には限界があると考えたほうがよいのかも知れません。
中和抗体の量を測定して、低下していたらワクチンを接種する(これは成人に行う風疹ワクチンで実際に行われています)方法も考えられます。
実際、中和抗体量を検査される方もみえますが、ワクチンの追加接種がフリーアクセスでない現状では、ほとんど意味がありません。
ワクチンを2回ないしは3回接種後に新型コロナに罹患した患者に、診断された時点の中和抗体量を測定した報告はあるのでしょうか。
さらには、ワクチンの意義は感染よりも重症化を防ぐと言われてもピンと来ない人が多いのではないでしょうか。
<参考>
中和抗体検査とは
https://snow-moon-flower.jp/covid-19-vaccine-test/
ワクチンの効果を判定するには、中和抗体の活性を数値化する必要があり、ウイルス表面に存在するスパイクタンパク質に対する、血液中の抗体(IgG抗体(S))の量を測定することにより行われる。
mRNAワクチンは、ウイルスの表面に存在し感染の成立に重要な役割を果たすスパイクタンパク質(S)に対する抗体を誘導することで、COVID-19の発症予防効果を発揮する。
その一方で、今まで行われてきた「抗体検査」は主にウイルスの遺伝情報を収納しているヌクレオカプシド(N)というタンパクに対する抗体であり、既感染の判定には有用であるものの、ワクチン接種後の抗体獲得の判定には不適だった。
スパイクタンパク質(S)に対する抗体は、新型コロナウイルスへの既感染およびワクチン接種後の抗体獲得を示す良い指標であり、ウイルスとヒト細胞との結合を阻害する中和抗体としての活性を有すると考えられている。
ワクチンの有効性を評価する方法 - Kmバイオロジクス