脳梗塞予防、カテーテルで

最近は、脳梗塞(くわしくは脳塞栓)の原因として頭蓋外病変(脳の血管ではなく首の
頚動脈など)から血栓(血のかたまり)がとぶことが多いといわれるようになって
来ました。
そのこともあり、頚動脈エコーという超音波による内頚動脈の内膜の肥厚や不安定
プラークを事前に把握する検査がさかんに行われるようになりました。
さらにはMRAという血管が映し出される非侵襲的検査でも、頚動脈の狭窄が発見
されるようになってきました。
イメージ 2

照沼光治 「萌芽」ジークレー
http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c184918957?u=;artfolio11

頚動脈狭窄症対象に保険適応

脳に血液を送る血管に狭まりがある頚動脈狭窄症の人を対象に今春、脳梗塞を予防する
「頚動脈ステント留置術」が、保険適用された。
細長い管を入れる血管内治療。
全身麻酔の必要がなく、体の負担は少ない。 

神奈川県の男性(74)は今春、自宅でドアノブに右手をかけた瞬間、指に感覚がない
ことに気づいた。
20分ほどマッサージすると元に戻ったが、念のため近くの病院に行くと、すぐに入院
になった。
 
検査で頚動脈狭窄症と診断された。
手の感覚がなくなったのは一過性の脳虚血発作(TIA)のためで、脳梗塞につながる
恐れがあった。
 
頚動脈は、大脳に血液を送る最も重要な血管。
頚動脈狭窄症は、動脈硬化が進んで血管内の壁に余計なコレステロールが染みこみ、
プラークと呼ばれる、粥状のかたまりがどんどんたまって血液の通路を狭める状態だ。
 
よどんだ血液の流れで血栓(血液のかたまり)も生じやすく、血栓プラークの破片が
脳内の血管に流れてふさぎ脳梗塞を起こすほか、狭窄で血流が減ること自体も脳梗塞
につながる。
 
血液をさらさらにする薬の服用が治療の基本だが、狭窄が強い場合、全身麻酔をかけて
首を切開し、プラークを器具で取り出す「頚動脈内膜剥離(はくり)術」という手術
もある。
 
男性は高齢で合併症もあるため、保険適用されたばかりで負担の軽い「頚動脈ステント
留置術」がより良いと判断され、今年7月に聖マリアンナ医大東横病院(川崎市)で
治療を受けた。
 
留置術は、局所麻酔で太ももの付け根に小さな切れ目を入れ、そこから3メートルほど
の細い管(カテーテル)を狭窄を起こしている場所まで入れる。
カテーテルを運じて「ステント」と呼ばれる金属製の網状の筒を運び、その筒を押し
広げて留置、血管を拡大するというものだ。

この際、ステントよりも脳側に小さな傘のようなフィルターを設置、狭窄部の拡張時に
生じた、プラーク血栓が脳側に行くのを防ぐ。

男性は4日ほどで退院。
「リスクの説明を受けたが、8年ほど前に心臓病でステントを入れた経験があり抵抗は
なかった」という。

留置術では、フィルターのすき間を伝ってプラーク血栓が脳内に運ばれて脳梗塞
つながる可能性はある。
また、急に血流が増えて脳血管に負担が大きくなり破れて脳出血を起こす恐れもある。

同病院の植田敏浩・脳卒中センター長は「年齢や合併症の有無にもよるが、留置術後に
後遺症が残るような脳梗塞が発生する率は約5%と報告されている。
そうしたリスクも十分理解してもらうよう説明している」と話す。
     
動脈瘤が破れる「くも膜出血」の予防でも、体への負担が少ない「脳動脈瘤コイル
塞栓術」がある。
太ももの付け根から入れたカテーテルで、こぶに金属製のコイルを詰め込む。
97年に保険適用となり、普及している技術。
ほかには、動脈瘤の根本を金属製のクリップで挟む方法もあるが、開頭手術が必要だ。

ただ塞栓術は、コイルにすき間が生じて再治療が必要になる例が、術後1年で1割ほど
である。

すき間ができるのを防ぐため海外では、コイル表面に生分解性の高分子などを付着させた
製品がある。
近く日本でも一部が販売される見込み。
東京慈恵会医大脳神経外科の村山雄一教授によると、「クリッピングとコイルの実施比率
は日本では7対3ぐらいだが、欧州の比率はこの逆」。
すき間が生じるのを防げる製品が広まれば、コイルが今後増えるとみる。

保険適用施設に基準

頚動脈ステント留置術については米国で2004年、頚動脈狭窄症患者334人を対象に
実施した剥離術と留置術の比較試験結果が発表された。
TIAや軽症の脳梗塞を起こし、血管の狭窄が50%以上に進んでいる人と、症状はないが
80%以上に進んだ人で、心臓病などがある人が対象。

半数ずつ実施した結果、1年以内に脳卒中心筋梗塞などを起こした率は、留置術で12%、
剥離術は20%。
リスクは留置術が少し低いか同レベルだった。
米食品医薬品局(FDA)は2006年、この結果をもとに留置術を認可した。

日本で留置術が保険適応となるも、米国の試験と同じ状態の患者。

虎の門病院(東京)の松丸祐司・脳神経血管内治療科部長は「心筋梗塞を起こした人や
下肢に閉塞性動脈硬化症がある人は頚動脈狭窄症のリスクが高い」と 専門医への相談を
勧める。
 
保険適用となる施設と医師の基準は、日本頚部脳血管治療学会など関連12学会が設けた
基準に沿っている。
 
施設は、脳卒中治療の経験豊かな日本脳神経外科学会や日本脳卒中学会の専門医がおり、
血管内治療を年間20例以上実施していることなど前提。
医師は、学会が監修した教育プログラムを受講し、指導医のもとで2例の留置術に成功して
いることが条件だ。
プログラムは先行して昨秋から始まり、受講した医師は250人を超えた。
神戸市立医療センター中央市民病院の坂井信幸・脳神経外科部長は「留適術だけでなく、
剥離術や内科治療について患者の状態に応じた長所、短所を説明でき、優先順位を示せる
医師が信頼できると思った方が良いでしょう」という。
イメージ 1


出典 朝日新聞・朝刊 2008.8.3
版権 朝日新聞社

<自遊時間>
ある週刊誌にウイスキーの「山崎」の広告コピーにホールインワンの話が載っていました。
そこで、ちょっと調べてみました。
ホールインワンの確率は、ゴルフの上級者でアマチュアの場合には8000分の1の確率から
14000分の1の確率だそうです。
18ホールのうちショートホールがいくつあるかにもよりますが、2000から3000ラウンド
まわってその中で1回ゴルフのホールインワンが出るくらいの確率になります。
これはアマチュアでも上級者のホールインワンの確率ですから初心者の場合にはもっと確率
は低くなると考えられています。
今までにゴルフのホールインワンを多く出した人の記録ではアメリカのノーマンマンレー
という人が59回もホールインワンを出しているといわれています。
このホールインワンの確率は毎年ゴルフのホールインワンを1回は出していて1979年には
なんと1年間に4回もホールインワンを出していたのだそうです。
別の人で1年間にゴルフのホールインワンを11回も出していた人もいるようです。
皆さんの中にもホールインワンを経験した方もお見えになるかも知れません。
こんなにすごいこととは知りませんでした。

読んでいただいて有難うございます。
コメントお待ちしています。
医療専門のブログは別にあります。
井蛙内科開業医/診療録(2)
(内科専門医向けのブログです)
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(~H20.5.21)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)